「日本のマーケターの集合知をつくる」ことを目的に設立された「JAPAN CMO CLUB」。1年以上の活動を通じ、すでに参加企業も50社を超えている。定期的に開催している異業種のマーケターが集まる研究会の場で見えてきた、これからの日本のマーケティングが進むべき道とは。

写真左から、「JAPAN CMO CLUB」の加藤希尊氏(セールスフォース・ドットコム マーケティングディレクター)、ザ・リッツ・カールトン東京 PRマネージャーの小西純子氏、ライオン 宣伝部長の小和田みどり氏、NTTドコモ プロモーション部長の青谷宣孝氏。
企業人格を反映したブランド体験が鍵に
2016年7月7日、NTTドコモの青谷宣孝氏、ライオンの小和田みどり氏、ザ・リッツ・カールトン東京の小西純子氏の3氏が東京・青山にある宣伝会議本社に集まった。その目的は、第13回目となるJAPAN CMO CLUB研究会に参加すること。今回もメーカー、通信、サービスと業態の異なる企業のマーケターが揃い、それぞれの日々の取り組みが紹介され、刺激を与えあった。
これまでの研究会でもテーマとしてきた「人口減少」、「コモディティ化」、「スマート化」というこれからのマーケティングにおける3つの課題。今回も研究会の前半では、各社がこの3つの課題に対してどのような取り組みを行っているのかを紹介しながら議論は進んだ。今回は特に、「宿泊体験そのものが商品」というザ・リッツ・カールトン東京の参加もあってか「モノからコトへ」の転換が課題への対策として目立った印象だ。
NTTドコモは、収益構造の変化にともない、通信料以外の収入源を増やすことで3つの課題を乗り越えようと考えている。その中核を成すのが「dポイント」だ。「dポイント」をプラットフォームとして、ローソンやマクドナルドといった提携する他社と利用客との接点を拡大することができる。NTTドコモと契約していなくても、アカウントを作成すれば持つことができる「dポイント」会員に対して、どのようなコミュニケーションが最適かを探ることが目下の課題となっていると青谷氏は話した。
ライオンでは、店頭で消費者に選んでもらうために、機能による差別化から「いかに自分ゴト化してもらうか」を念頭に置いたコミュニケーション戦略へと転換し課題と向き合っている。一方で、機能性の追求もメーカーの姿勢として必要性を認めている。機能は常に高めていかなければならないが、その表現としてのコミュニケーションにおいては、消費者のニーズをふまえたものであることが大事だと話した。
最後に加藤希尊氏から、この日の研究会には2つのポイントがあったと指摘があった。ひとつは、マーケティングの中心は「人」であること。今回だけではなく、これまでの参加企業が「人口減少」、「コモディティ化」、「スマート化」に取り組むときにキーワードとなったのは「人」だった。マーケティングにおいて企業としての人格がどうあるべきかが重要となる。その象徴がザ・リッツ・カールトンの「クレド」ではないかと話した。
こうした企業人格から外れることなく、消費者が心地好さを感じるサービスや商品を提供し、カスタマージャーニーを形成できるか。消費者に「自分が特別な存在」だと感じてもらうことがマーケティングの目指すところだと話し、第13回のJAPAN CMO CLUB研究会をまとめた。
「JAPAN CMO CLUB」の活動報告は、随時、宣伝会議運営のWebメディア「アドタイ」にてレポート中です。
http://www.advertimes.com/special/cmoclub/
(本組織はセールスフォース・ドットコムと宣伝会議が共同で設立したものです)