広告マーケティングの専門メディア

           

手書きの戦略論。

エンゲージメントとは、参加である。

磯部光毅

今回のテーマは「エンゲージメント」。現在マーケティングコミュニケーションを語るうえで最も重要な概念でありながら、明確な定義がなかなかできていない用語です。エンゲージメントとは「つながり」「絆」である、といった解説も間違いではありませんが、あいまい過ぎて実態を表現できていませんし、すでにあるブランドロイヤルティやレレバンシーとどこが違うの? という疑問も残ります。そのあたりの違いが明確になるように、分かりやすく説明していきましょう。

もともとエンゲージメントは雑誌メディアから誕生した

歴史をひも解けば、「エンゲージメント的」なものが世界の広告業界に登場したのは2003年。カンヌ国際広告祭でチタニウム部門のグランプリを獲得した「BMW Films」がその嚆矢と考えられます。BMWがマス広告予算をすべて投下しつくられたWebムービーは非常に豪華で映画さながら。視聴者が見ずにはいられないエンターテインメントムービーをブランド発でつくる「ブランデッドエンターテインメント」という手法が生まれたわけです。

あまりに革新的だったため、カンヌのどのカテゴリーでも評価できず、わざわざチタニウム部門が新設されたという逸話があるほどのインパクトでした。ただこの時はまだエンゲージメントという言葉は存在していません。

実はエンゲージメントという言葉自体、最初はデジタルでなく、雑誌メディアの価値を再定義する文脈から生まれたものでした。2004年、アメリカ雑誌協会が広告接触の深さの指標として提示したとされ ...

あと87%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

手書きの戦略論。 の記事一覧

エンゲージメントとは、参加である。(この記事です)
統合は、メディア視点から顧客視点へ。
ネット広告は、刈り取りから関係づくりへ。
ダイレクトとはLTV最大化を目指す手法である。
クリエイティブブリーフとは広告の設計図である。
APとは、広告開発プロセスに生活者の視点を入れこむこと。

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する