生成AI広告、TikTok規制法、X離れにブルースカイ 2025年の米国・マーケティングはどこに行く?
ここ数年の人工知能(AI)の発達により対応を迫られている米マーケティング業界。2025年はどのような年になるのだろうか。
米国広告マーケティング事情
新たなSNSやテクノロジーなど、米国企業が取り入れ始めている最先端のマーケティング実例をレポートします。
手動式カミソリのネット販売を手がける「Dollar Shave Club」のホームページ。アカウントを開設し、好きなプランにサインアップすると毎月または隔月で無料宅配してくれる。一番安いプランは月1ドルから。
アメリカ男性用カミソリ市場では、プロクター・アンド・ギャンブル社のジレット・ブランドが81%と圧倒的なシェアを保持し、2位のシック社(17%)に大差をつけている。この2社に割って入るには相当な困難が予想されるが、「カミソリ市場にチャンスあり」と果敢にも巨大ブランドに挑戦するスタートアップ企業が今、注目されている。
手動式カミソリは、単価1ドル以下の使い捨てから4ドルの交換式高級カミソリまでさまざまなタイプがある。高性能をうたった高級カミソリは、剃り心地はいいものの高価すぎると感じていたマイケル・ドゥービンは「安くて高性能のカミソリのネット販売」を目的に2011年7月、「Dollar Shave Club」を友人のマーク・レヴァインと起業した。投資会社から資金援助を調達したものの、マーケティング予算はほとんどない。
そこでドゥービンは以前、即興コメディの勉強をした経験を生かし、自ら脚本・出演をこなしたバイラルビデオ「Our Blades Are F***ing Great」を制作した。
「ハイ、『Dollar Shave Club』創業者のマイクです。DSCは月にたったの1ドルでカミソリを宅配します」
「そう、1ドル。クオリティ? わが社のカミソリはスゲー(放送禁止用語のため、ピー音)いいよ」
「カミソリに電動ハンドルだの光るライトだの裏側のスムーサーだの10枚刃なんている? アンタのおじいちゃんは1枚刃だったんだよ(笑)」
「高級カミソリに月20ドル? ムダな出費はやめようよ。19ドルは(広告費として)テニスのロジャー・フェデラーにいくんだよ」
などとトボけた口調とコミカルな動きで話す同ビデオ。2012 年4月にYouTubeに公開されると、たちまちクチコミで広がり、1週間足らずで300万回以上再生された。同社によると、最初の2日間だけで1万2000件の加入があった。このビデオは2012年アドエイジ誌「Best Out-of-nowhere Video Campaign」を受賞するなど、一躍マーケティング業界にもその名を知らしめた。
2012年4月にYouTubeで公開されたビデオ「Our Blades Are F***king Great」。かつて、即興コメディ養成学校に通った 経験のある社長 マイケル・ドゥービンが脚本・主演をこなした本作は、公開と同時にバイラル化し、最初の1週間で300万回 再生された。アドエイジ誌「2012 Best Out-of-nowhere Video Campaign」受賞。
同社のコンセプトは ...