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早稲田マーケティング・マネジメント研究会レポート

コマツの経営構造改革「コマツでないと困る、と言ってくれる顧客がいるか」

コマツ 坂根正弘・相談役

建設・鉱山機械メーカーのコマツは、2001年の経営構造改革で世界シェア1位もしくは2位の商品に集中し、さらに“ダントツ商品”として強みを磨き現在では売上の90%近くを占める。第19回早稲田マーケティング・マネジメント研究会には、改革を断行したコマツ坂根正弘相談役が登場した。

 (c)akulamatiau/123RF

2001年の社長就任直後、コマツは創業以来初の赤字に直面した。坂根氏は、当時750種あった商品群を、将来的にシェア1位を狙えるもののみ約半分に絞り込み、2年間で110の不採算関連会社を削減した。「経営資源は有限。何かに注力する指示を出す時、経営者は同時にやめるものも明確にしなければならない」と坂根氏は指摘する。

そのためには、世界の変化の本質を理解し、日本や日本企業の基本的課題、自社の強みと弱みを整理し、取り組むべき改革をシンプルに見える化する必要がある。世界が今後直面する課題のキーワードは、「資源・エネルギー」「食料・水」「地球環境」や「医療」。日米欧の経済圏の成長が限界に達し、新興国の台頭がめざましい中、これらの課題にいかに対応し、自社の強み・弱みを理解し、いかにグローバル企業として生き残るか、日本企業は探る必要がある。その目指す姿を「日本国籍グローバル企業」と位置付けた。

一般的に、日本のモノづくりは、アジアの安い人件費や生産コストに比べて割高になり、それが競争力の阻害要因になると言われている。しかし、坂根氏は国内の人件費は高いものの、日本人特有のきめ細かさや連携力などから厳密な生産コストは低いと判断。一方、縦割りで仕事を分担しきめ細かく対応する体質が非効率を生み出し、業務コストが割高になっていると分析した。コマツは日本企業の強みである連携力やきめ細かさを磨き、生産拠点を日本に置きながら、「環境・安全・ICT」をキ―ワードに商品開発に注力すること、同時に弱みである固定費を削減することに絞り込んだ。

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