メディアに取り上げられる方法を考えるには、メディアがどのようにネタを探して検討しているのか、メディア側の視点を知ることが重要です。放送作家としてテレビ業界で活躍した経験を持つ上岡正明氏がテレビ局の現場での様子をもとに、取材を呼び込む情報配信のコツを解説します。
私はコンサルタントとして独立して、20年近く戦略PRのコンサルティング会社を経営しています。会社を立ち上げる前は、22歳の大学生の頃から15年近く放送作家をしていました。しばらくは、PR会社の経営と放送作家を同時並行で行っていました。
かかわった番組は、『めざましテレビ』『ニュースステーション』などの報道番組、そのほか数多くの情報バラエティー番組や深夜番組にも携わりました。それらの経験を踏まえて、本稿では広報ネタやプレスリリースが新聞やテレビなどのメディアに採用される手順やコツを、業界内に精通した内情も踏まえて紹介します。主に私がいたテレビの報道番組を例に話しますが、大手新聞社や経済メディアも似たような流れとなりますので参考にしていただける部分があると思います。
プレスリリースは誰が選別?
まず、テレビ局に届くプレスリリースに目を通すのは、第一線で活躍するディレクターではありません。もし、最初からディレクターに届けたい場合は、メールでもFAXでも宛名にディレクター名を記名する必要があります。
ディレクターの連絡先を手に入れる方法は、知人からの紹介や、交流会での名刺交換が一般的です。あるいは、番組の最後にテロップが流れますので、そこからめぼしいディレクターの名前を見つけ出して、記名ありで郵送してみるのも手です。
POINT!
お目当てのディレクターや記者に読んでほしいなら、宛名を記名しよう。
こうした手順を踏まえずに、番組宛に連絡した場合、送られたプレスリリースは、見習いの放送作家やアシスタントのディレクターが内容を確認しながら仕分けるのが一般的です。私が見習い時代にその役割をしていた頃は、毎日100通以上のプレスリリースが郵送やFAXで届いていました。
当時の報道制作室には、常にプレスリリース専用のダンボール箱が2つ設けられていました。右側の箱が採用ネタ、左側の箱がボツネタです。届いたものを一つひとつ目視で確認しながら、制作スタッフに回覧すべきネタかどうかを振り分けていきます。ここを通過したネタは、制作スタッフのディレクター全員に回覧されます。つまり、まずアシスタントの関門をクリアしなければ、皆さんの広報ネタやプレスリリースの企画が、会議で話題になることもないのです。
さらにアシスタントもプレスリリースを確認するのがメインの仕事ではありません。それこそ台本制作やロケハンなど、他の...