メディアでの掲載数などの数値は広報活動の指標として用いられている。しかし、成果を可視化するにあたっては、メディア露出量だけではなく、その先にあるステークホルダーの認識や行動の変化も、広報担当者は意識してチェックしたい。
今から約15年前、私が化粧品会社の広告宣伝部広報課に所属していた頃に行っていた日々の業務のひとつが、メディアデータと定規を使ったアナログな広告換算費集計と報告作業でした。この集計はなんの意味をなすのだろうかと、新卒だった私はぼんやりした違和感がありました。そもそも広報活動の目的は、良好な関係構築や企業の課題解決にあります。報道されたことの価値を露出量だけで示すのは困難ですし、自社が出稿した広告と同じ価値で比較できるのか、という問題もあります。
その後、営業職にキャリアチェンジし、分かりやすい経営目標と個人の営業目標、定量化できる世界に感動を覚えました。その後再度広報職に戻った際に、営業職のような目標や成果の数値化・見える化ができないものかと様々な書籍を読み、専門家を訪ねました。そこで分かったことは、「露出量だけを目標にすることは広報の本質からは遠い」こと、どの企業にも通用する汎用的な効果測定ロジックは存在しないこと、AMECと米国のPR研究所Institute for Public Relationsが策定している「バルセロナ原則3.0」にまとめられている7つの原則に応じて、各企業が定量・定性両側面から適切に状況を判断する必要があるということでした。
自社にとって適切な指標とは
広報活動の効果測定で、「メディア掲載数」や「露出度」といった定量的指標を追うケースが多くあります。…