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リスク広報最前線

大麻グミ問題 法的責任と社会的責任どちらを優先して対応すべきか

浅見隆行

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

    大麻グミ問題
    問題の経緯

    2023年11月17日

    「大麻グミ」を食べ体調不良を訴えるケースが相次いだことから、11月17日、製造・販売会社のWWEがメディア取材に応じた。同日、店などへの立ち入り調査が実施され、厚労省はグミに含まれる成分を指定薬物に指定し所持や流通を禁止する方針を示した。

2023年4月からWWEが製造・販売している、大麻の有害成分に似た合成化合物「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」を含んでいるグミを食べた人から体調不良者が発生していることが、11月に明らかになりました。厚労省麻薬取締部は、11月17日に国内の複数の店舗に、11月20日にはWWEに各々立入検査をし、検査結果が出るまで販売を停止することを命じました。その後、厚労省は11月22日にはHHCHとHHCHを含む製品について、医療等の用途以外の目的での製造、輸入、販売、所持、使用等を禁止するよう省令を改正し、12月2日から施行しています。

今回は、法律上禁止されていない原材料を使用したにもかかわらず、食べた消費者の健康に不安を生じさせた場合の危機管理広報のあり方を取り上げます。

健康被害発生後のメッセージ

WWEの松本大輔社長は11月17日、メディアの取材に対し「弊社商品ページには、未成年と初心者の方および慣れてない方への使用、他人への譲渡・二次配布は控えるような注意書きをしております。お酒や市販薬と同じで、用法・用量を守って正しくお使いくださいとしか、我々は言えないです」などと答えています。

たしかに、WWEがHHCHを含有するグミを製造・販売した時点では合法なので、合法を前提に用法・用量に言及することは間違ってはいません。しかし、自社が製造・販売した食品を口にした人が健康状態を害し、病院に運ばれ、厚労省が立入検査までを行う事態に発展しています。そうだとすれば、食品を製造・販売するメーカーの代表は、まずは、「お身体を害したお客様の一日も早い回復を願っております」などと消費者を気遣うセリフを発すべきでした。それが、食品メーカーの社会的責任(CSR)の観点からのあるべき姿勢です。WWEの松本社長が自社の製造・販売したグミが違法ではないなどの正当性、すなわち法的責任に関する主張をするのは、社会的責任に関する発言の後でも遅くはなかったと思います。

図 事故発生後、優先すべきは法的責任か社会的責任か

逆ギレ会見と批判を浴びたケース

反面教師となるのは、2011年にユッケ等を食べた181人が集団食中毒となり...

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