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広報担当者のための企画書のつくり方入門

地域社会と一体となり成長を目指す!小規模スポーツチームのPR戦略を立案したい

片岡英彦(東京片岡英彦事務所)

「広報関連の新たな企画を実現しようとするも、社内で企画書が通らない……」。そんな悩める人のために、広報の企画を実現するポイントを伝授。筆者の実務経験をもとに、企画書作成に必要な視点を整理していきます。

スポーツチームと地域社会を共に活性化

地域スポーツチームは、地域社会と一体となり、その成長を目指す特異な存在である。その活動が多くの人々に知られることで、地域との結びつきが深まり、支持基盤が広がり、資金調達の新たな道が開かれる。これを実現するための鍵となるのが、精緻に計画されたPR戦略である。

しかし、効果的なPR戦略を策定することは容易ではない。明確な目的設定や戦略的なアプローチが要求される。また、戦略立案だけではなく、その戦略を体系化し具現化する「PR企画書」の役割も重要である。さらに、「小規模スポーツチーム」といっても、地域社会ではすでに有名なクラブチームから、学生や地域住民が中心となるスポーツチームまで、その規模と形態は多岐にわたる。今回は、PR戦略立案の基礎的な枠組みから具体的な活動計画までを解説する。

視点1
PR戦略の土台づくり

地域社会との連携を強化する

企画書をつくる際の最も大事な部分、PR戦略の土台となるのは、地域社会とどのように関わっていくか、その基本的な方向性を示すことだ。スポーツチームが地域社会と協力しながら成長するには、地域社会との関係を深める様々な活動が必要である。チームの価値を高めながら、地域社会にも貢献する連携をしたい。地域のニーズ分析を実施し、それに基づいた取り組みを企画することが重要である。

図1 地域との関わり方の方向性(例)

➀地域の企業や団体と協力関係を築く

例:地域企業との共同商品開発や、地元の団体とスポーツクリニック(スポーツを体験するイベント)を開く提案など

➁地域住民と交流を深める

例:高齢者向け健康セミナーや、地域住民を招いた親睦会の開催など

➂地域の課題に貢献する

例:学校訪問による選手の講演や環境保護活動への参加

➃地域のニーズを分析する

例:地域団体との共同社会調査や有識者との定期的な意見交換会

チーム価値を向上する基盤の構築

PR戦略の土台としては、図1のような地域社会との関連性を強化に加え、図2のように、チーム自体のブランド価値向上も重要である。特に、チームと選手のストーリーを活かしたメディア戦略の立案は、感動や共感を呼び起こし、ファンとの結束を深める。こうした基盤構築は、チームの長期的な成功につながる。

図2 チームのブランド価値向上の基盤(例)

➀ファンエンゲージメントを強化する

例:SNSを活用した選手とファンの交流企画や、ファンが参加できるイベントを開催。ファンからのフィードバックを受けることで、サービスの改善や新しいアイデアの創出につながるキャンペーンを策定

➁ストーリーの創出

例:チームの歴史や選手の背景ストーリーを深掘りし、それをPR材料として活用する。例えば、選手の成長物語やチームの重要な節目を映像や文章で紹介することで、ファンがチームや選手に共感しやすくなる物語を創出する。これにより、ファンとの関係を深化させることが可能になる

➂チームと選手のストーリーを活かしたメディア戦略の立案

例:選手が地域社会に貢献する活動の取材やドキュメンタリーの制作。また、勝利後の感動的なインタビューを活用し、選手の人間的な側面を強調することで感動や共感を呼ぶメディア戦略を立案する

PR活動でチームの地域貢献を促進

スポーツチームが長期的な成功を達成する上で、地域社会との連携を...

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