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ウェブリスク24時

店舗メッセージはどうあるべきか

鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

イラスト/たむらかずみ

店舗メッセージはどうあるべきか
ブックオフの店舗が7月、客の悪臭対策として入浴を呼びかけ、消臭剤を追加設置したとSNS投稿した。本社は注意喚起の仕方が不適切であったと謝罪し、投稿は削除された。

ブックオフのX(旧Twitter)店舗アカウントが投稿した内容はこうだ。「トレカコーナーにて悪臭が漂うとのご報告が多数寄せられております。毎日お風呂に入る等の対策をお願いします」「お客さまの体臭が気になるとご報告を受けた場合は、大会の参加、販売・買取をお断りさせていただく可能性がございます」。また、計12個の消臭剤を設置したと消臭剤の写真と一緒に投稿。

注目が集まると運営会社の広報は、注意喚起の仕方や表現が不適切であったとし、「一部、配慮に欠ける不適切な表現がございましたので、投稿を削除するとともにお詫びの投稿をするよう指示をいたしました」とコメント。投稿は削除された。

ネット上には、呼びかけは真っ当だと投稿を擁護する声も目立ったが、広報は「今後、同様の事象を発生させないよう、ツイッターを含むSNSガイドラインを再徹底し、再発防止に努めてまいります」とするのみ。店舗や本社は、どうすべきだったのか。今回はこうした店舗メッセージについて考える。

表現の前に対応と手段は妥当か

今年1月、マクドナルドのある店舗が近隣の中学校を名指しして出入り禁止との貼り紙を掲示したことに、SNSでは店への同情の声が広がった。弁当持参や単品注文で居座ったり、あるいは店のフリーWi-Fiでオンライン授業を受けるなど長期間にわたる迷惑行為があったことがうかがわれた。

店舗は迷惑行為を学校に連絡し、警察にも相談するなど対策を取っていたものの事態は改善されなかった。そしてオンライン授業を受ける時に使っていたタブレットが学校で配布されたものだと発覚して以降、ようやく学校側も対応する姿勢を見せた。

メッセージ発信の前に、取るべき、あるいは取り得る対応が他にないのか、それがひとつの観点になるだろう。

実名を出すか否か、SNS投稿や店頭掲示ではなく声かけなどコミュニケーションの仕方にも工夫は考えられそうだ。晒し行為に近い軽蔑意識を含んだ一方的な告知は、コミュニケーションとは感じられない。

本部ができることは?

FCなど多店舗を展開する本部の役割も問われるところだろう。他の店舗でも見られる問題を認識し、店舗でできる対応策を共有する役割や、本部として呼びかける方法もある。東映アニメーションは8月、プリキュアの着ぐるみで子どもらに声かけや接触をすることを控えるよう公式アカウントで注意喚起した。一般の人の中で、自社キャラクターを模した扮装でハグなどをしていることを問題視しての発信である。

注意喚起などで不可欠なのは、何を守ろうとしているのかを明らかにしつつ、注意される側へのリスペクトが感じられるようにすることだろう。ほとんどの人たちは、その世界観や場に魅力を感じ、同じように大切に守りたいと思っている人たちだろうから。



社会構想大学院大学 客員教授 ビーンスター 代表取締役
鶴野充茂(つるの・みつしげ)

社会構想大学院大学客員教授。日本広報学会 常任理事。米コロンビア大学院(国際広報)卒。国連機関、ソニーなどでの広報経験を経て独立、ビーンスターを設立。中小企業から国会までを舞台に幅広くコミュニケーションのプロジェクトに取り組む。著書はシリーズ60万部のベストセラー『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)など多数。個人の公式サイトはhttp://tsuruno.net/

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