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地域活性のプロが指南

まちの資産を活かした魅力の発信と課題の解消

藤川明美(尼崎市)

「尼崎市を好きな人を増やす。」目的で進められたシティプロモーション施策「あまらぶ大作戦」。まず取り組んだのが魅力の発信だ。まちの魅力を整理し、戦略的にPRに落とし込むポイントを解説します。

どこの自治体にも魅力と課題があり、その総合点がまちのイメージをつくっていきます。

魅力である「プラス要素」を伸ばしていくことはもちろん、課題である「マイナス要素」を減らしていくことで総合点が上がり、まちのイメージは高まります。シティプロモーションに取り組む場合、今あるまちの魅力をどうPRするかに注力しがちですが、魅力を高めていくことと課題を解決していくことは、同時に、まちの魅力の増進につながることを念頭においておく必要があると思います。そして、どの魅力を高め、どの課題を解決していくのか、それらをどう発信していくのかを考えることが重要です。

魅力を高め、課題を解決

尼崎版シティプロモーションの取り組みは、魅力へのアプローチと課題へのアプローチに分かれます。魅力へのアプローチは、❶現在ある魅力をさらに高める ❷今はまだ魅力とは考えられていないものを磨き上げ魅力にする取り組みに分かれます。具体的には、❶は都市の利便性や暮らしやすさ、歴史・文化・産業のポテンシャルなど、❷は人を受け入れ応援する「世話好き」な人情味のある気風や地域資源の発掘などが当てはまります。

一方、課題へのアプローチは ❸解決・克服しているのに、いまだに引きずっている過去のマイナスイメージを払拭する取り組みと、❹依然として残っている課題への取り組みに分けられます。具体的には、❸は公害などのイメージ、❹は治安や教育、住宅の課題などとなっています(図表)

図表 尼崎版シティプロモーションの考え方

出所/尼崎市

対応としては、❶と❸は魅力や正しい姿を戦略的・効果的に発信すること、❷は積極的に地域資源の発掘・再発見などに取り組むこと、❹は行政として様々な施策を展開していくことになります。

また、❷でいう新しい魅力、尼崎の最大の資源は「人」ですが、「世話好き」「ほっとけない」という人情味ある気風は、治安や教育などまちの課題の解決に向け、自ら取り組む人や、取り組む人を支えることで、課題を解決する大きな力となる可能性があります。

そのように課題の解決に新しい魅力が寄与していく関係ができると、単に課題が解決できたというだけではなく、それらに関わった方々のまちへの愛着が生まれるとともに、課題先進都市である尼崎市が、都市の体質転換に取り組む「課題解決先進都市」としての力も備わってくると考えたのです。

印象に残る尼崎体験を

このような方向性のもと、私が在籍したシティプロモーション担当課ではまずは...

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