「住民参加型のプロジェクト」を発信していくにあたり、住民が記事づくりにかかわると、住民同士がつながり、まちづくりのプレイヤーになっていきます。そんな「まちのファンをつくる」方法を解説します。
日本にiPhoneが登場してから、SNSを通じて情報発信するためのレポーター育成講座が自治体でじわじわと増えました。今回は自治体が運営している「市民ライター育成講座」の変化などを解説しながら、まちの魅力を市民たち自身が発信することについて考えていきます。
コンテンツよりもコミュニティ
私は水都大阪のコアメンバー向けの勉強会に呼ばれお話しして以降、寝屋川市や茨木市、和泉市などの大阪府下の市役所や、商店街、文化施設の情報発信にまつわるレクチャーなどを引き受けてきました。また、NPOや企業などからの依頼でもジャンルや対象者は違うものの、「知らない人にどうやって自分たちの活動の魅力を伝えるか」が趣旨の情報発信講座を開く機会が増えました。
例えば和泉市主催のいずみ市民大学では、市民がまちの気になっている人や場所を取材し、記事にした情報を私が編集し、冊子「和泉帖」を制作しました。講座では3人以上のチームをつくり、撮影する人、記事を書く人、インタビューする人に分かれてもらいました。チームはシニア世代と若い世代を混合にしたことで、年配の方が自分のスマホにカメラ機能がついていることを若い人に教わるなどの場面もありました。
核家族や転入者も多い地域で子育て世代とシニア世代が自然に出会うことは難しいという課題があります。だからこそ数回ほどの講座では、文章や写真のクオリティには力を入れず、チームが協力しあって記事をつくるプロセスを大事にしました。非公開のFacebookグループページで情報をやりとりした結果、参加者同士が講座以外の時間でも仲良くなり、メンバーがイベントを立ち上げるなど良い状況が生まれました。
こういった混合チームを広げることが「まちのファンをつくる」ことにつながると考えています。
ウェブのコミュニティデザイン
2020年7月に発売した拙著『まちのファンをつくる 自治体ウェブ発信テキスト』の中では、そんなレポーターチームの好例として兵庫県尼崎市の「尼ノ物書キ組」、奈良県生駒市の「いこまち宣伝部」、愛媛県西条市の「LOVE SAIJOファンクラブ」、静岡県富士宮市の「ふじのみやハハラッチ」について取り上げています。ハハラッチはお母さんのネットワークづくり...