環境経営にかかわる動向を解説しながら、企業の本業にサステナビリティを取り込み、コミュニケーションをしていくための考え方を整理します。
丸井グループ(以下、丸井)の専属産業医であり、ウェルネス推進部長としても同社の健康経営、ウェルビーイング経営を推進されてきた小島玲子氏が21年からChief Well-being Officer(CWO)に就任されました。CWOのポジションは国内の上場企業では楽天に次ぐ2例目。今回は小島氏へのインタビューをもとに、丸井のウェルビーイング経営の考え方について紹介します。
イキイキと働ける状態を保つ
ウェルビーイングとは、世界保健機関(WHO)が健康を説明する際に採用している考え方です。単に病気にかかっていないだけでなく、肉体的にも精神的にも社会的にも満たされた状態(=well being)を健康な状態であるとする考え方です。2021年に日本経済新聞社が中心となり日本版ウェルビーイング イニシアチブが立ち上げられ、海外で先行していたウェルビーイングへの取り組みが国内で本格化してきています。
丸井は新しい中期経営計画を策定するタイミングで、基本戦略にウェルビーイングを反映させています。ただしこの取り組みは急に始まったものではなく、これまで積み重ねられてきた活動の延長線上にあります。小島氏は丸井に来られる前から、産業医の役割は病気の予防だけでなく社員がイキイキと働ける状態を保っていくことであると考えておられました。この考えにトップの青井浩氏が意気投合したことで、小島氏は...