環境経営にかかわる国際動向を解説しながら、企業の本業にサステナビリティを取り込み、コミュニケーションをしていくための考え方を整理します。
いよいよサステナビリティ情報の開示が義務化される時代がやってきました。2021年10月にG20財務大臣・中央銀行総裁会議において「G20サステナブルファイナンス・ロードマップ」が公表され、その中で、国際会計基準(IFRS)の設定主体であるIFRS財団が進めるサステナビリティ情報の報告基準の開発を支持することが表明されました。
国内でも金融庁が主催する金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおいて、2021年9月以降、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報開示のあり方が検討されています。2022年にはIFRS財団からサステナビリティ情報の報告のためのルールの策定手順やスケジュールが公開されることが予定されており、これらの国際動向を踏まえながら有価証券報告書におけるサステナビリティ情報開示の基準も策定されていくことが予想されます。
開示基準を整備する動き
有価証券報告書やアニュアルレポートを通じて開示が義務化される対象は、初期段階では気候変動関連情報が中心です。IFRS財団は気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みをベースに報告基準の開発の議論を進めています。
国ごとの事例では例えばイギリス財務省は2020年11月にTCFDに沿った開示の義務化に向けた5年間のロードマップを発表しています。2021年に入ってロンドン証券取引所のプレミアム市場では...
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