「〇〇してください」「〇〇禁止」。そう呼び掛けても、人はなかなか行動を変えてくれない。それはなぜか。行動科学のインサイトを使って広報実務を点検します。
無理強いするより、自らそうしたくなるように後押しする。ナッジを活用するフレームワークとして、英国の行動インサイトチームが提案する「EAST」を前回紹介しました*1。ナッジのエッセンスを「Easy(簡単に)」「Attractive(魅力的に)」「Social(社会的に)」「Timely(タイミングよく)」の4つにまとめたものです。
受診率向上に成功
厚生労働省が作成した『受診率向上施策ハンドブック』はナッジを用いた受診勧奨施策をEASTに従ってまとめています*2。今回は「Social」と「Timely」の事例を紹介します。
まず「Social」。世間の目を気にしたり、知らず知らずのうちに周囲の行動や発言から影響を受けたりと、人間は社会的な動物です。この「周りの人から影響を受ける」という人間の社会的な性質を利用して、受診率を向上させることができます。
高知市は、「過去10年間で〇〇市(メッセージの受け手が住んでいる地域名)の受診率が1.3倍に増加しました」という勧奨メッセージを開発。「周りも受診しているようだから...
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