環境経営にかかわる動向を解説しながら、企業の本業にサステナビリティを取り込み、コミュニケーションをしていくための考え方を整理します。
前号では、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報開示の義務化に向けて、国内外で議論が進められていることを紹介しました。しかしながら、サステナビリティ・コミュニケーションの情報の受け手は投資家など外部の関係者だけではありません。
従業員も自分の会社が発信するメッセージを受け取り、しばしば投資家よりも厳しい目で評価しています。従業員は自分の会社のサステナビリティ・コミュニケーションを通して、自分の価値観を会社の方針と照らし合わせたり、経営者の誠実性や取り組みへの本気度を感じ取ったりするでしょう。そしてこのことは彼女/彼らの行動にも影響すると思われます。
社内活性につながる
『広報会議』で特集されていたように、インターナル・コミュニケーションは、従業員のエンゲージメントを高める方法として注目を集めています。このことはサステナビリティの文脈でも有効のようです。
昨年末に北田研究室では、サステナビリティに関する社内コミュニケーションについて、複数の企業に対してインタビュー調査を実施しました。先進的な企業は、従業員への社内コミュニケーションの体制や方法の刷新を模索しており、重要なマネジメント上の課題として捉えていました。それらの企業の経営トップは共通してサステナビリティを重要な経営課題として捉えており、イノベーションを含む事業革新を促進するしかけのひとつと位置付けている企業も...