環境経営にかかわる動向を解説しながら、企業の本業にサステナビリティを取り込み、コミュニケーションをしていくための考え方を整理します。
前回に続き、サステナビリティ活動への「社員の主体的な参加」について、私自身も共著として携わった『創発型責任経営』で論じている、ブリヂストンとオムロンの事例を参考に、考えたいと思います。
社員が納得して活動するには
ブリヂストンとオムロンの事例では、企業理念と表彰制度がキーワードとなっていました。多くの組織の企業理念は、経済的な成功だけでなく、社会への貢献がうたわれていると思います。例えばオムロンの場合、企業の公器性を意識して「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」という社憲が制定されています。ブリヂストンは「最高の品質で社会に貢献」を会社の使命と位置付けており、これをベースに社会貢献のための指針として「Our Way to Serve」という考え方を設定しています。
ただしオムロンが企業理念で掲げた「よりよい社会」が一体なんなのか、具体的には記されていません。そのため社員は「よりよい社会」を探求し続けなければなりません。しかしそのような探求は、放っておいても実現できるものではありません。そこでオムロンはThe OMRON Global Awards(TOGA)として、企業理念を実践するための表彰制度を実施しています。
簡単に数値や指標に置き換えられる経済的な価値と異なり、社会的な価値は個人によって異なるものなのでそれぞれの社員が創意工夫し納得して活動することが...