
地方創生×SDGs×ESG投資
市場規模から見た実践戦略で甦る地方自治体と日本
赤川彰彦/著
学陽書房
384ページ、3800円+税
2014年、政府から「2040年には全国1799の自治体のうち半分が消滅可能性都市になる」という内容のレポートが発表された。この事態に対し、著者の赤川彰彦氏は、「自治体の多くの首長は、人口減少に強い危機感を持たず、右肩上がりの時代の成功体験や前例踏襲から脱皮できていない」とし、人口減少と超少子高齢社会の中で現実的な地方創生のあり方を模索するべきだと語る。その鍵を握るのがSDGs、ESG投資(以下、ESG)だ。
“稼げる”領域で地方創生を
本書は、地方都市における持続可能な産業を複数挙げ、SDGsとESGの視点から当該産業の市場規模を整理・分析し、具体的な施策を提案している。中でも特に地方都市の強みに挙げるのが3K産業(環境・観光・健康)だ。国際的に脱炭素化が進む中、環境産業の市場規模は2020年は109.5兆円なのが、2040年には126.5兆円に増加と予想。雇用規模も約260万人あるという。
観光産業は、地域経済を活性化する地産地消の地域密着型産業である。その経済波及効果(2017年)は27.1兆円、その生産波及効果は55.2兆円と推計され、雇用効果は472万人と経済貢献度は高いとし、地域資源をフル活用した地域を巻き込むツーリズムを提案。
健康産業は、高齢者の増加により、今後、医療・介護サービスへの需要は増える。特に地方は顕著であり...
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