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広報担当者のための企画書のつくり方入門

インターナルコミュニケーションの企画書を書きたい! ポイントは?

片岡英彦(東京片岡英彦事務所 代表/企画家・コラムニスト・戦略PR事業)

「広報関連の新たな企画を実現しようとするも、社内で企画書が通らない⋯⋯」。そんな悩める人のために、広報の活動別に企画を実現するポイントを伝授。筆者の実務経験をもとに、企画書作成に必要な視点を整理していきます。

社内広報からインターナルコミュニケーションへ

2020年2月号掲載の広報会議編集部が行った社内広報に関する独自調査の結果を見ると、社内SNSを使ったコミュニケーションと社内向け動画の活用への高い利用意欲が感じられる(図1)。一方で、社内報の発行形態では現在も紙媒体がウェブやイントラネットを上回るなどの特徴も見られ、インターナルコミュニケーションが大きな過渡期にあることが分かる。

図1 社内広報に関する調査

広報会議編集部調べ「企業の広報・PR活動に関する調査2020」より
(調査対象:134社の広報関連部門 調査期間:2019年11~12月)

最近私のところにも、インターナルコミュニケーションに関連した企業からのサポート依頼が増えてきた。その背景には大きく二つのことが挙げられる。一つは、近年の「働き方改革」の一環として「ダイバーシティ」(多様性)が注目されていることだ。多くの企業が旧来のピラミッド構造で社内告知をするスタイルから、もっと“フラットな”コミュニケーションを目指したいと考えている。だが具体的にどうしていけばよいかがよく分からないという理由だ。

もう一つは、「コロナ禍」においてリモートワークが浸透したこと。新しい形での社内コミュニケーションが必要となった。これまで対面や紙などで行っていたアナログ重視の社内コミュニケーションを、どうすればオンラインを併用したものに変えられるか。また、対外向けPRと社内コミュニケーションを一元化したいなど、企業の課題は幅広い。

もっとも、どちらも長い目で見ると根源となっている自社が抱える課題には共通点があると考えている。旧来型の社内コミュニケーションは主に「社内広報」と呼ばれ、ポイントはいかに経営層による経営理念・ビジョンを社内の隅々まで周知徹底できるかにあった。管理職が行った意思決定をいかに早く社員たちに共有できるか。キーワードは「一致団結」である。企業戦士たちのピラミッド構造に特有の「同一性(均質性)」をさらに強固にすることが社内広報のゴールであり、主には紙媒体を通じて定期的に社報などが社員に配布された。

一方、近年は「女性の社会進出」「多様性の尊重」「長期雇用制度の崩壊」「非正規雇用の拡大」などが進み、旧来型のピラミッド社会に適したコミュニケーションスタイルでは立ち行かなくなった。コロナ禍におけるリモートワークの導入も進み、旧来型の「社内広報」に加え、経営層を含む従業員同士の双方向コミュニケーション(インターナルコミュニケーション)が進行している(図2)。

図2 旧来型のコミュニケーションと新しいインターナルコミュニケーション

著者作成

このように社内環境に大きな変化が起こりつつある中で、インターナルコミュニケーションに関して広報部門が果たすべき役割も大きい(図3)。また広報部門の役割も、旧来のような「会社の意思決定を社員に周知する」から「社員相互の自発的なコミュニケーションをファシリテートする」に徐々に変化しつつある。そこで今回は、インターナルコミュニケーションの企画書を作成する上で、どういった点に注意すればよいかを挙げていきたい。

図3 社内広報活動の組織・体制は?

広報会議編集部調べ「企業の広報・PR活動に関する調査2020」

視点1
企画書を書く上で重要な「社内調整とバランス感覚」

全社的な視点での「目的の整理」「他部門との役割分担」

インターナルコミュニケーションは商品PRなどの外部向けコミュニケーション(アウターコミュニケーション)とは異なり、その活動が売上拡大に直結するようなことはない。原則として活動領域は企業内部に限定され、アウターコミュニケーションほどリソースを投入できないのが一般的だ。それだけに社内リソースの投入を前提とした企画書を書く際には、社内での事前調整と全社的視点でのバランス感覚が重要となる。

そもそも「どういう必要があってこの施策を行うのか?」この点が明確でなければ、全社からの協力が必要であっても他部門から協力を得にくい。また、他部門(人事部、総務部など)が実施中の活動と内容が重なることも多い。「なぜ広報部門が行うのか」を明確にした上で、社内調整を行うことを前提にした企画書にしなければならない。

視点2
既存施策のブラッシュアップで踏んではいけない“地雷”とは?

自分が担当する前からある既存の施策をブラッシュアップする際に整理すべきことは、①現状の施策がどういう目的で行われてきたのか②どういう問題が現時点であるのか③どのように改善すると、どういう効果があるのかの三つだ。特に、②の「現状の課題」を整理するにあたり、先述のインターナルコミュニケーションを取り巻く企業環境の“大きな変化”について考慮したい(図4)。

図4 企業環境の変化に合わせた社内報の例

過去の施策を否定しない

インターナルコミュニケーション施策のブラッシュアップを行う上で気をつけたいのは、決して「過去の(既存の)施策」を否定しないことだ。商品PRや採用PRなどとは異なり、内部向けコミュニケーション活動の多くは、活動のサイクルの“足が長い”ものが多く、一見今の時代の企業文化に合わないように思える施策も、長い年月をかけて多くの社内リソースが投入されてきたケースもある。

新しく部門を担当する責任者になった際...

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