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広報担当者のための企画書のつくり方入門

コーポレートPR、ブランドPRの企画書を書きたい!ポイントは?

片岡英彦(東京片岡英彦事務所 代表/企画家・コラムニスト・戦略PR事業)

「広報関連の新たな企画を実現しようとするも、社内で企画書が通らない⋯⋯」。そんな悩める人のために、広報の活動別に企画を実現するポイントを伝授。筆者の実務経験をもとに、企画書作成に必要な視点を整理していきます。

コーポレートPRと商品PR、何が違うのか?

商品PRは、主に自社商品の魅力や強みを、新商品の発表や販促キャンペーンと連動して潜在顧客に知ってもらい、販売拡大を目指すPR活動である。

一方、コーポレートPRは、経営トップの経営理念や、事業活動、CSR活動などについて、潜在的な顧客だけでなく、自社の社員や、取引先、地域住民、株主など、内外のステークホルダーを対象に伝え、幅広く「自社のブランド価値」の向上を目指すPR活動だ。自社ブランドの強化と密接するため「(自社の)ブランドPR」と呼ばれることもある。

コーポレートPRでステークホルダーに伝えるべき「自社のブランド価値」には4つの側面がある。

❶機能価値:「品質・性能の良さ」「特別な機能」「便利さ」など商品のメリット

❷感性価値:企業に関連した「デザイン」「キャッチフレーズ」「イメージ」が自分に合うかどうか

❸情緒価値:自社の商品・サービスを「体験」することで得られる気分の高揚など

❹共感価値:アイデンティティや自己実現とのリンク

商品PRが主に❶の視点からのコミュニケーションであるのに対して、コーポレートPRでは、❷~❸などの商品・サービスを超えた「企業自体が持つ価値」も範疇に入る(図1)。

図1 4つのブランド価値の向上を目指すコーポレートPR

出所/著者作成

商品PRが自社商品を購入する可能性のある潜在顧客(新規顧客・既存顧客)にターゲットを絞ったコミュニケーション活動が主であるのに対して、コーポレートPRでは、対象となるのは潜在顧客だけではない。自社に関連するステークホルダー(取引先・社員とその家族・メディア・地域住民・株主・採用予定者など)に向けて、商品特性や機能以外の「感性」「情緒」「共感」などブランド価値全般を広く発信していくことになる。

最近ではさらにステークホルダーを超えて、社会全体に向けて自社のブランドメッセージを発信していくことが重要だと言われる(ガバナンスやSDGsに関連したサステナビリティに関するメッセージなど)。こうした発信によりステークホルダー(社会の生活者たち)の企業ブランドが形成されていく。

コーポレートPRの目的は、自社と他社との差別化が明確になることだけではない。ステークホルダーが自社を一時的に「選択」するのではなく、その選択が「習慣」として長く継続されることが目標である。このため活動は短期的なキャンペーンのみならず、中長期的な自社の情報発信力の強化にもつながる。

視点1
コーポレートPRの「課題設定」に求められること

❶与件の整理

狭い視点で与件を整理しない

部門内の狭い視点で与件を整理するのではなく、社会全体、業界、市場など自社の置かれた環境全体を「俯瞰」する。例えば、PR担当者が考えた自社の強みや重要と考えるターゲットは、その多くの場合が経営者や全社的な視点とズレがある。今必要とされる企画はどういった視点に立ったものであるべきか、各セクションからの事前のヒアリングが必要だ。

    ありがちな視点のズレ

    ●広報担当者:メディア(関係者)の視点で自社について考える傾向

    ●人事担当者:就活生、大学関係者、現場の各部門長の視点で考える傾向

    ●営業担当者:大手取引先、スポンサー企業の視点で考える傾向

    ●販売担当者:大口顧客、常連客の視点で考える傾向

    ●経営者:業界団体、競合他社、親会社、株主を含めた広い視点で考える傾向

❷自社(ブランド)の調査・分析

変化に注目する

現状分析に留まらず、自社を取り巻く市場がこれからどう変わっていくのか、といった「変化」に注目する。過去からどのように変化し現在に至ったか、それはなぜなのか、未来に向けてどのように変化していくかなどの「動的視点」を持つ。

例えば、3C分析(Customer/Competitor/Company)を行うなら、市場・競合・自社の現状分析に終始せず、過去からの変化に注目することで「差分」を明確にしたい。差分を知ることで、自社には変えることはできない競合の動きを睨みつつ、自社の施策を動的な視点で考えることができる。この動的な視点がダイナミックなコーポレートPRの企画立案へとつながる。

    動的視点を持った分析

    ●過去➡市場はこうだった。競合は市場に対してこのようなアプローチを行った(成功した・失敗した)。自社はこのように強みをPRした(成功した・失敗した)。

    ●現在➡市場はこのように変化した。競合はこのように市場へのアプローチを変化させている(成功している・失敗している)。自社はこのようなPR活動を行った結果(成功している・失敗している)。

    ●未来➡市場はきっとこう変化するだろう。競合は恐らくこのように変化していくだろう(成功するだろう・失敗するだろう)。だから自社はこういうPR戦略を展開するのはどうだろうか?(きっと成功する!)

❸課題設定

分析結果から課題を明確にする

市場調査や現状分析から得た「気づき」から「仮説」を立てることで、自社の「課題」を明確にできる。例えば分析から、自社の認知度は高いが、旧来のビジネスモデルで自社が今も想起されていることが、わかったとする。「新規事業が知られていないことで革新的なイメージが定着しないのではないか?保守的なイメージが先行してしまうのではないか?」と仮説を立ててみよう。すると、「新規事業の認知度を上げ保守的な自社のイメージを革新的に変える。このための...

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