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広報担当者のための企画書のつくり方入門

スポンサードPR、コラボPRの企画書を書きたい!ポイントは?

片岡英彦(東京片岡英彦事務所 代表/企画家・コラムニスト・戦略PR事業)

「広報関連の新たな企画を実現しようとするも、社内で企画が通らない・・・・・・」。そんな悩める人のために、広報の活動別に企画を実現するポイントを伝授。実務経験をもとに必要な視点を整理します。

スポンサードPR/コラボPRとは?

東京五輪の話題が巷で多く語られるようになった2018年くらいから、「スポンサードPR」について担当の方から相談を受ける機会が増えた。

「スポンサード」とは、スポーツ、文化、芸術イベントなどに企業が金銭的援助を行い支援することだ。一方でその見返りとして、企業は自社商品のCMを放送したり、会場や選手のユニフォームなどに企業名やロゴを露出したりする。

「金銭」の援助が生じる場合だけではない。お互いが合意の上で、特に金銭的対価が生じないこともある。いわゆる「コラボレーション」という形でも、最近は面白いPR企画(コラボPR)が実現することもある。

新たな顧客接点とブランドのブラッシュアップに

最近ニュースで目にした「コラボレーション」として私が興味を持ったのは、GUCCI(グッチ)による取り組みだ。MEN'S NON-NO WEBの5月31日の記事には「フィレンツェ発祥のラグジュアリーブランド『GUCCI』(グッチ)が、なんとモバイル対戦型テニスゲーム『プロテニス対戦:ゲームオブチャンピオンズ(原題:Tennis Clash)』と異業種コラボ」とある。

GUCCIのようなラグジュアリーブランドは、一見、モバイルゲームとは顧客層やブランドの親和性が高いとは思えない。だからこそ新たな顧客とのコンタクトポイント(接点)作りや、既存の顧客に対する自社ブランドのブラッシュアップ(パーセプション・チェンジ)につながる。互いの企業(ブランド)の「強み」を活かしたコラボレーションにより、新たな顧客との接点をつくり、同時にこれまでにない新しいライフスタイルの創造が期待できる。

視点1
コラボ企画は「目的」を明確に

スポンサードPRは「そのスポンサーシップ(コラボレーション)は本当にうちにとって必要か?」などと社内から必要性を疑問視されることもある。実際のところ、相手企業との長年のお付き合いや、資本関係など組織同士の“しがらみ”により、先に「コラボありき」で実施が決定されるケースも多い。それだけに企画書を書く上でまず明確にしたいのは、その「目的」だ。そもそもなぜ企業は、他の企業やメディアとのコラボレーション(スポンサードPR)を好んで行うのか。目的は大きくわけて4つある。

スポンサードPR/コラボPRの目的

①新しい顧客接点の模索

マス広告を好まない団塊ジュニア世代やデジタルネイティブなミレニアル世代に対して、旧来型の「マスマーケティング」だけのアプローチで、「囲い込み」を実践しようとしたり、「ブランドロイヤルティ」を高めようと企図したりするのは難しい(図1)。有効なひとつの手法が、ブランド同士のコラボレーション。企業はコラボレーションを通じて、社会に新しい価値を生み出し、新しい世代との価値の共創により“接点”を見出そうと模索している。

図1 マスマーケティングだけのアプローチが難しい世代

②自社のUSP(独自の“ウリ”)強化

自社とコラボ先の「強み」が、より効果的に相乗効果を生み出すことが期待される。

    USPとは

    企業やブランドが市場において、自社のコミュニケーションを図る際に、特に強く打ち出す“独自のウリ”となるポイントのこと。

③新しいライフスタイルの提案

私が携わった経験では、2009年6月、日本マクドナルド在職中に携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」(任天堂)とコラボレートし「マックでDS」の発表を行った。Wi-Fi機能を利用した「ポケットモンスター」のキャラクターのダウンロード、スタンプラリー、デジタルクーポン券の配布を行うなど、デジタルと店舗を融合して、新しい店舗体験(ライフスタイル)を提供する試みとなった。

④メディア露出の強化

一見するとミスマッチ(違和感)とも思える「コラボ」が、PRネタとしての話題性(パブリシティ効果)を生み出す。

    良いコラボレーションがパブリシティ効果を生む仕組み

    ●違和感のあるブランドイメージ同士があえてコラボ
    ➡“意外性”がニュースネタになる(例:ラグジュアリーブランド×ネットゲーム)

    ●異なる客層の支持を得るブランド同士がコラボ
    ➡新たな顧客層の開拓(例:地域の伝統和菓子×地元大学生)

    ●特定分野に「強み」を持つ企業同士のコラボ
    ➡他社を寄せ付けない「USP」の構築、“ウリ”につながる独自性の確立
    (例:私鉄×沿線の百貨店とのコラボ)

    ●共通の価値観を持つブランド同士のコラボ
    ➡両社の世界観を支持するコア層の更なるロイヤルティ向上(例:高級万年筆×高級車)

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