「広報関連の新たな企画を実現しようとするも、社内で企画が通らない・・・・・・」。そんな悩める人のために、広報の活動別に企画を通すポイントを伝授。筆者の実務経験をもとに、企画書作成に必要な視点を整理していきます。
企画書の前に整理したい2つの視点
マーケティングやPR部門の方から受ける相談で最も多い案件が「商品(サービス)」に関するPRについてだ。商品PRについて相談を受ける際、私は以下の2つの視点で話を整理する。
❶製品(サービス)自体が「独自性/排他性」を持ち、他社製品と差別化できるか?
❷すでに市場が確立されているか?
投入する市場がBtoBなのかBtoCなのかを最初に気にする方もいる。私は商品PRにおいては、販売相手がB(Business)かC(Consumer)かは、「ターゲット」の設定上の違いだと考えるので、最初の段階ではこの2つの視点を重視して整理することにしている。
視点1
製品(サービス)自体が「独自性/排他性」を持ち、他社製品と差別化できるか?
Ⓐ「差別化できる」場合の考え方
仮に自社が市場に提供する製品が「独自性/排他性」を十分に持つものであれば、基本的なアプローチとして「商品自体」の仕様、魅力、役割、希少性などをコミュニケーションしていく。
例 他社製品よりも仕様(スペック)が優れている場合
他社製品の仕様(スペック)では実現できない自社製品の特徴の言語化、可視化、ストーリー化。
➡コミュニケーションで解決
(他社製品よりもスペックが優れている)
空気清浄機
➡他社製品ではこれまでは取り除けなかった「ダスト、花粉、ウイルス、ニオイ」などを「取り除ける」ことを言語化、可視化、ストーリー化する(コピーライティング、クリエイティブ、商品が生まれた背景など)。
Ⓑ「差別化できない」場合の考え方
製品自体では、市場において競合他社との差別化ができないことの方が多い。この場合には、製品以外の他の要素(価格、販売チャネル、プロモーション)での商品全体としての差別化を検討する。
例 他社製品と仕様(スペック)に差がない場合
価格、販売チャネル、商品サポートなど製品スペック以外の何をどのようにコミュニケーションすることで販売商品としての魅力を伝えるかを考える。(モノとしての)製品単独ではなく、(モノ以外の付随サービスを含めた)商品全体としての提供できる価値を訴求する。
(他社製品と差別化できない)
ノンアルコール飲料
Product(プロダクト)
プロダクトで差別化できない(特に目新しさはない)
↓
Price(価格)
通常より高いので優位ではない
↓
Place(販売チャネル)
高級レストラン、都内のスポーツジムなどでの限定販売
↓
Promotion(プロモーション)
これまでのノンアルコール飲料にはなかった、メッセージ、クリエイティブ、ライフスタイルを、どうやって伝えるか?風上(製品スペックなど)での差別化が難しい場合は、より風下(コミュニケーション)領域での「伝え方」の工夫が重要になる …