日本一の生産量である静岡県の“茶”を活用した「茶の間」プロジェクト。現在は県外からも申し込みがあるなど、新たな価値創出に成功している。企業のマーケティングに従事してきた筆者がそのポイントを解説します。
するが企画観光局は2017年4月にスタートした、静岡県中部地「茶の間」では、茶畑の中にウッドデッキのテラスをつくり、事前予約制の完全貸切サービスを展開しています。現在は県内6カ所で実施しており、それぞれ素晴らしいロケーションで、その土地でつくられた個性豊かなお茶を楽しむことができます。富士山や雲海が見える場所もあれば、中には黄金色の茶畑などもあります。域のDMOチームです。平均27.5歳の若者を中心としたメンバーで、観光宣伝の実施やイベントの支援、コンベンションの誘致などを行っています。
活動を始めてから、我々が最も力を入れているのが、地域資源を活用した新たなコンテンツの企画・開発です。圏域である静岡県中部地区は、訴求力が強い観光スポットやアクティビティに乏しいため、地域全体のブランド形成のフラッグシップとなるコンテンツの開発が不可欠でした。
今回から次回にわたって、静岡茶をテーマにしたプロジェクトで進めている「茶の間」という事業を題材に、地域資源を使ったコンテンツ開発の方法について解説していきます。
茶畑を貸し切る特別感
「茶の間」では、茶畑の中にウッドデッキのテラスをつくり、事前予約制の完全貸切サービスを展開しています。現在は県内6カ所で実施しており、それぞれ素晴らしいロケーションで、その土地でつくられた個性豊かなお茶を楽しむことができます。富士山や雲海が見える場所もあれば、中には黄金色の茶畑などもあります。
利用者は事前に場所、時間を決めて専用サイト上や電話で予約ができます。当日現地でお茶のセットを受け取り、軽いハイキングがてら畑まで徒歩で移動。「茶の間」に着くと、お茶を飲みながら誰に気兼ねするわけでもなく、自由に時間を過ごすことができます。
飲食の持ち込みも自由。素晴らしい景観を独占して、思い思いに好きな時間を過ごします。料金はひとり90分3000円と決して安くはありません。しかし、大々的に告知施策をしていないにもかかわらず、11月だけでも100人を超すお客さまに予約いただきました。そのうちの約60%が県外からの予約となっています。
テレビや雑誌などにも度々取り上げられ、某旅行雑誌の表紙も飾るなど、今後2020年の本格稼働に向け、手応えを感じています。
前提となる「差別化」の視点
コンテンツ開発にあたって絶対に押さえておきたいのが、「他にはない価値をつくる」という価値の差別化の視点です。我々が着目したお茶という資源でいうと、静岡県は茶葉の日本一の産地ですが、お茶を楽しむ魅力的な体験には欠ける状況でした …