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地域活性のプロが指南

自走する組織文化の形成 地域リーダーの育て方

片桐 優(するが企画観光局)

静岡中部地域の活性化のため2017年に設立した「するが企画観光局」。未経験のメンバーをどのように地域のリーダーに育てあげたのか。企業でマーケティングに従事してきた経験をもとに、筆者が解説します。

するが地方の観光名所「夢の吊橋」をイメージしたカクテルを自主的に考え、チームのオフ会で振る舞う若手メンバー。

我々「するが企画観光局」は2017年4月にスタートしたDMOチームで、静岡県中部地域における、観光宣伝の実施や観光イベントなどの支援、コンベンションの誘致などを行っています。チームのメンバーは平均27.5歳の若者中心で、マーケティングや地域活性事業に関しては素人の集まりでした。しかし現在、そんな彼らが地域のリーダーとして活躍し、「茶の間」や「茶氷」といった観光コンテンツを続々と生み出しています。

地域活性事業において組織づくりは重要です。その肝となるのはビジョン、ミッション、バリューの3つ。このフレームワークを使った"組織づくり"を意識することで、チームスタッフは順調に成長してくれています。今回はこのフレームワークを"使う"ことの重要性について解説していきます。

バリューの浸透の重要性

一人ひとりが、独自の価値観と思考回路をもつ個人で構成される組織をまとめあげ、目標達成に向かって"のぞましい行動"を引き出し、事業活動を進めていくのがリーダーの仕事です。しかし、褒めても怒っても、思い通りに動いてくれないという課題意識をもっているリーダーが多いかと思います。

そこで、ビジョン、ミッション、バリューを普段から"使用"することで、浸透させていくことが大切となります。まずビジョンについて、組織がなぜ存在するのか、チームの成果の先に何があるのか。組織の究極の目的たるビジョンを周知し、理解・賛同を高めることは、動機づけに最適です。

次にビジョンの達成のために、組織が果たす独自の使命、集中すべき役割であるミッションについてです。ミッションとは、組織の時間、労力を最も使う活動になるので、何をやり、何をやらないのか、それはなぜなのか。選択と集中の論理をチームに説き、メンバーが納得感をもって仕事に取り組める土台をつくることが大切です。

さて、ここまでをメンバーの視点で振り返ると、メンバーがビジョン、ミッションをまったく理解していないということは実は非常にまれで、なんとなくビジョンを理解し、なんとなくミッションも分かっていることが多いと思います。それではなかなか成果がでないのはなぜか?答えは、組織が共有すべき共通の価値観や行動規範となる「バリュー」にこそあります。

結論から言うと、バリューが定められてない組織の仕事は、そもそもの目的が見失われます。ただの作業、用件の集合になり、結果アウトプットのレベルが下がります …

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