オンラインの情報流通構造が複雑化し、広報の手法も変化しています。デジタルPRの基本と戦略に活かすヒントを専門家がお届けします。
今回のポイント
(1)王道の記念日と穴場の記念日の使い分け
(2)なぜ自分たちが関わるのかを明確に
(3)コミュニティが盛り上がる好機と捉える
PR活動の定番の手法のひとつに、「記念日」の活用が挙げられます。PR TIMESでは毎年、365日分の主要な記念日を集約した“PRカレンダー”を企業ノベルティとして制作していますが、眺めていると毎日のように何かしらの記念日があることが分かります。その数は年間数千にもおよび、分類すると以下のようになります。
❶国、国の機関が定めたもの(祝日、特定の記念日など)
❷企業・団体が独自に定めたもの(周年、独自の記念日など)
●民間の団体が認定したもの(日本記念日協会)
●認定を特に受けていないもの
例えば日本記念日協会が認定した記念日だけでも1800以上あります(2017年12月末現在)。
記念日と企業姿勢を結びつける
企業広報の視点では、記念日はPR活動のタイミングを設ける大義名分になる便利な切り口です。一方で、効果的に活用するには難しさもあります。
例えば、節分、バレンタインデー、ホワイトデー、エイプリルフールなど定番でよく知られている記念日の場合。季節が近づけばメディアが特集を組むため横並びで取り上げられることもありますが、競合相手が多くなってしまうというのが難点です。逆に、あまり知名度のない記念日を狙えば競合は少ないものの、メディアや生活者へのリーチという点では弱く、インパクトのある仕掛けが必要となります。
ここではPR TIMESで配信されたリリースから、話題になった例を見ていきましょう。最近では、勤労感謝の日(11月23日)に合わせたオイシックス・ラ・大地の食品宅配サービスによる「献立スロットマシーン」の企画はユニークなアイデアでした。
「毎日の献立に悩むお母さんのために、小学5年生の男の子が主菜と副菜2種を組み合わせたスロットマシーンを自作した」というアイデアがTwitterで話題になっていたのを受け、勤労感謝の日に合わせキャンペーンを立ち上げました。
同社では、20分で2~3人前の主菜・副菜を調理できる食材と調味料がセットになった「ミールキット」を取り扱っており、その機能価値と「毎日の献立を考えてくれる母への感謝」という情緒価値を組み合わせた形です。
専用サイトにアクセスするとスロットマシーンを制作するための説明書がダウンロードできる仕掛けで、抽選で工作キットもプレゼントしています …