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本田哲也のGlobal Topics

デジタルシフトが鍵 PR会社選定にも厳しい目

本田哲也

中国南東に位置する深圳市。「アジアのシリコンバレー」と呼ばれ、高層ビルが立ち並ぶ。

今回のコラムは「中国」を取り上げる。最新の『ウォール・ストリート・ジャーナル』では、「今年第2四半期の中国の経済成長率は、公式統計では6.2%となった。これは政府の目標値に近く、過去4年半の各四半期の数値との差は1ポイント以内になっている」と報じている。

昨年13兆ドル(約1390兆円)超のGDPを記録した中国は、依然成長を続けているかに見えるが、一方で製造業は減速傾向にもあるという指摘も。そんな中国の最新のPR事情はどうなっているのか。世界的なPRアワードである「セイバー賞」を主宰し、世界屈指のPRシンクタンクでもあるホルムス・レポートの最新の中国マーケット調査も交えながらお届けしよう。

中国は、ここ数年で世界屈指のデジタルコミュニケーション大国となった。日本からの視察団が深圳の現状に驚くように、あらゆる情報取得や購買行動がデジタル化されている。PRの領域においても日本以上に、トラディショナルなPRから、デジタルにシフトできているかが鍵になる。

前述のホルムス・レポートが、150人を超える中国のマーケッターに調査したところ、全体の3分の1が、「PR会社との関係に満足していない」と答えたという。そこには、事業会社が求めるデジタルシフトにどれだけエージェンシーがついていけるか、という課題があるようだ。いまやデジタルリテラシーは発注者である事業会社側に蓄積されつつあるのは日本も同様だが、この点においては中国の方が厳しい環境にあるのかもしれない。

また、中国のような市場において、「企業はローカルのPR会社と協業すべきなのか」「グローバルなPR会社の力を借りるべきなのか」というテーマも興味深い。調査によれば、グローバルPR会社に分があるのは、いわば国際基準のアカウントマネジメント力。世界的な潮流を読んでのアドバイスや、世界的な企業は近年どのようなPRスタンスをとるべきかという指針提示だ。

一方で、ローカルのPR会社の強みは中国独自のインサイトがモノをいう分野だ。例えば「KOL(有識者)マネジメント」、IR活動における「ロードショー(投資家向け企業説明)実施」「デジタルでの消費者エンゲージメント獲得」といった領域では、やはり地元PR会社に圧倒的に分があるようだ。

最後にインフルエンサー領域。日本のインフルエンサーマーケティング市場は2028年に933億円に達する見込み(2019年デジタルインファクト調べ)だが、中国では現時点で1.9兆円。国土の広さからEコマースが急速に発達し、そこにグローバルトレンドであるインフルエンサーの勃興が重なった。ここにも、PR領域の大きなポテンシャルが眠っている。ではまた来月!

本田哲也(ほんだ・てつや)

本田事務所代表/PRストラテジスト。PRWeek誌「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」に選出された日本を代表するPR専門家。『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などの著作、講演実績多数。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズの公式スピーカーや審査員を務めている。

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