今年もグローバルPR会社の世界ランキングが発表された。本コラムでも恒例化しつつあるが、今回はこれを紹介しよう。最新版を発表したのは、世界有数の業界メディアである「PRWeeK」。発行元のHaymarket Media社は、イギリス、アメリカ、香港を主要拠点に、世界的に展開。グローバルPR業界の権威とも言えるメディアだ。
さっそく、ランキングを見てみよう。2018年は大きな変動があった。PR業界史上最大の合併によって誕生した「バーソン・コーン&ウルフ」が一気に世界3位に躍り出たからだが、今年は各社の成長率には差が出たものの、昨年と変わらぬ顔ぶれとなった。
1位は独立系のエデルマン(米国)で、2018年のレベニュー(売上高総利益)は約974億円。続く2位が、オリンピック招致の実績で有名なウェーバー・シャンドウィック(米国・インターパブリックグループ)で約927億円。3位にバーソン・コーン&ウルフ(米国・WPPグループ)で約779億円。従業員数はトップのエデルマンでおよそ6000人規模となる。
4位以下を見てみよう。4位のフライシュマン・ヒラード、続く5位のケッチャムはともに米オムニコムグループ。「オムニコムPRグループ」の名のもとに連携が進んでいる。6位以下は、外資系PR会社として日本でも知られるMSL(フランス)、ヒルアンドノウルトン(米)、オグルヴィPR(米)、唯一のアジア勢であるブルーフォーカス(中国)が続く。
2018年のグローバルPR業界全体の成長率は5%。これは、前半の成長率がわずか1%程度だったことからすると大きな復活で、PRWeeK誌も「2018年はPR業界にとっては良い年だった」と結論づけている。
しかし細かく見ていくと、依然として巨大PRファームの業績はバラついている。とりわけ、世界最大のPR会社として君臨してきたエデルマンの成長率がマイナスに転じたことは大きい。対して、11位から20位に目を移すと、成長率が10%から20%超えのエージェンシーが半数を占める。
その中には、日本勢としてベクトルグループ(16位)、サニーサイドアップ(20位)がランキングされている。日本のPR会社の海外展開はまだまだ余地があることを考えれば、日本勢がトップ10に食い込む可能性もある。さて、2019年はどうなるか楽しみだ。ではまた来月!
本田哲也(ほんだ・てつや)本田事務所代表/PRストラテジスト。PRWeek誌「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」に選出された日本を代表するPR専門家。『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などの著作、講演実績多数。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズの公式スピーカーや審査員を務めている。 |