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記者の行動原理を読む広報術

定例・緊急記者会見は「公平さ」を意識して

松林 薫(ジャーナリスト)

多くの人に正確な情報を伝えるための記者会見。目的に合わせた会場選びや開催時間の配慮次第で記者の満足度を左右し、報道のトーンにも直結する。

決算発表や株主総会など、記者会見を伴うイベントが増える季節になった。そうした定例の会見については、たいていの企業でマニュアルやノウハウが蓄積されているものだが、不祥事絡みなどの「緊急記者会見」は、前例がない企業も多いだろう。今回は、平時の会見にも緊急時にも役立つ、記者側から見た記者会見のポイントについて説明しておこう。

会見の会場は記者クラブ?

会見を開く際、広報担当者を待ち受ける最初の難題が会場の確保だ(図1)。会見当日にメディアに案内状を送る緊急記者会見でも、例えば合併に関する会見など前々から広報の耳にも入っていた案件であれば、広報側には十分な準備期間があり、会場も条件に合わせて選ぶことができる。

図1 記者会見、どの会場を選ぶ?

一方、広報にも知らされていない段階でスクープが出てしまった場合は選択肢が限られる。基本的には自社か、自社が所属する業界を担当する記者クラブで開くことになる。どちらの会場を選ぶかは、会見の主導権を自社とメディアのどちらが握るかに影響する。自社の一室で開くのなら、司会から時間設定、タイムラインまで自社の都合で決められるが、記者クラブの場合はそうはいかない。

また、日ごろから付き合いの深いフリーライターや業界紙の記者を会見に呼びたいと思っても、クラブによっては"加盟社しか出席を認めない"ということがあるので注意が必要だ。最近はこういった閉鎖的な記者クラブのあり方を問題視する声もあり、「開かれた記者クラブ」が求められているので、幹事社と交渉すれば非加盟社の参加が認められるケースは増えているが、その場合も質問権のない「オブザーバー参加」になったりする。

もちろん、記者クラブに加盟しているメディアの記者からすれば、会見はクラブで開いてもらう方が圧倒的に負担も軽い。緊急記者会見が入ると、記者は予定していた取材をキャンセルしたり、本社のデスクとどんな原稿を出すか相談したりと、対応に大わらわになる。そのうえ、クラブから会場に移動し、再び戻って原稿を書かなければならないとなると、慣れているとはいえ殺気立ってくる。

そういった意味では、同じ時間帯に別の会見が入っているなどの特殊事情がない限り、緊急記者会見は記者クラブで開いた方が無難だろう。特に不祥事系の案件では、主導権をあえてメディア側に渡すことで、世間の批判や疑問に誠実に応えようとしている姿勢もアピールできる。逆に、自社で会見を仕切りたいという動機だけで記者に不便を強いれば、無用な反発を招きかねない …

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