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大学広報ゼミナール

新体育施設の竣工式を実施! スタートダッシュの広報

榊原康貴(東洋大学 総務部次長兼広報課 課長)

800近くある国公私立大学が受験生や資金を求めて競争する教育現場。スポーツ選手を多く輩出する東洋大学で広報を務める榊原康貴氏が、現場の課題や危機管理などの広報のポイントを解説します。

試走する桐生祥秀選手(右)と新入生の宮本大輔選手。選手たちのスピードを間近で体感できる貴重な機会となった。

新学期が始まり、大学内は学生の闊歩する姿をたくさん目にするようになりました。入学式やガイダンス、サークル勧誘に授業開始。この号が発売されるゴールデンウィークごろには、そうした喧騒も落ち着いているでしょう。春は大学にとっていちばんの繁忙期。3・4月は卒業式や入学式で慌ただしくなります。

新年度のスタートにあわせて、新たなプロジェクトも一斉に動き出します。中には新しい施設のオープンなどもあり、これを広報のテコにして動きのある大学というイメージを演出することを計画した大学も多かったのではないでしょうか。

そこで今回は、3月29日に竣工した体育施設の広報について書きたいと思います。

室内走路を完備した体育館

東洋大学川越キャンパスには、在学中に日本人初の100m9秒台を出した桐生祥秀選手や箱根駅伝のチームが練習する、屋外400mトラックがあります。硬式野球部やラグビー部の練習施設、合宿所もあり、郊外という立地を活かした運動部の練習拠点になっています。このキャンパスには、理工学部や総合情報学部もあり、いわゆるキャンパスらしい緑に囲まれた教育環境です。

ここにはもともと授業で使うための体育館がありましたが、老朽化が進み、建て替えの時期となっていたのです。大学の教育課程では、教職免許を取るためには法令で体育実技または講義修得が義務付けられています。そのため、体育館の設置は必須です。整った施設を活用した、より質の高い授業が求められているのです。授業で活用されてこその教育施設なので、学生たちの学びの高度化にあわせたアップデートが必要となります。

また、こうした施設は運動部も使うことから、雨天時の練習スペースとしての活用も考えられます。特に陸上競技部は、雨天時はほぼ室内でのウエイトトレーニングなどのメニューに限定されてしまうので、室内施設の充実も期待されていたのです。

そこで、体育館の建て替えにあたり設けられたものが80mの室内走路でした。オリンピックの正式種目ではないものの、室内60m走という競技があります。これは100mや200mなど短距離の選手たちにとって重要な競技なので、室内での大会も定期的に開かれています。

施設の天井は東京ドームと同じ素材、床材はリオ五輪のメインスタジアムと同じ素材、ブルーのタータンで3レーン仕様、体育大学でもこうした室内走路などを設置している大学は珍しいとのこと。このように真新しい施設での取材招致は、どのような取材エリア設定が最適か、それを見極めることに大変苦労しました。

当然試走では、スターティング・ブロックを設置しピストルの合図で走ることになるので、メディアの方たちにはできるだけ全力で走る迫力ある映像や写真を撮っていただきたい、という想いがありました。取材では当然ムービーの希望も多く、スチールも入ります。取材エリアなど各社スタッフに直前まで要望を聞きながらエリアの調整をすることになります …

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