経営者の「プレゼン力」を診断。声・表情・身振り・ファッションといった視点から毎号、分析します。
慶應義塾幼稚舎から大学までストレート。米国でMBAを取得しマッキンゼーを経て、負債1900億円を抱えるタクシー会社の創業家3代目トップに就任し、見事再建。その経歴からは誰もが「頭の切れるエリート」を想像するだろう。
しかし事前の予想は完全に裏切られ、そこには顧客目線・現場主義を徹底する泥臭い経営者がいた。そのことを実感する瞬間があった。はにかんだ笑顔で、日本交通の川鍋一朗代表取締役会長はこう語ったのだ。
「陣痛タクシーを3回利用しています。『だからつくったんでしょ』と社員に揶揄されますけど……そうかもしれません」。いかにタクシー業で社会貢献するか? 顧客目線・現場主義を徹底し、100%自分ごととして考えるのが川鍋会長の流儀だ。「実はやりたいことがある」。
川鍋会長は宙を睨み考えた末、心にあふれる言葉を紡ぎ出した。「妊婦さんにマタニティギフトを届け、陣痛タクシーも無料化したい ...
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