LINE、Facebookが本格的に法人向けサービスへの参入を表明したことで、メールやイントラネットなどが担ってきた情報共有手段の選択肢が広がっている。「働き方改革」旋風のなか、社内コミュニケーションの活性化につながるのか。
ワークスタイルの多様化とスマートフォンの普及とともに、ビジネスにおけるコミュニケーション手段が変化している。4月にビジネスパーソン2395人を対象に実施された「ビジネスメール実態調査2017」によると、仕事で使っている主なコミュニケーション手段としては「メール」「電話」「会う」が圧倒的な上位だが、「テレビ会議・電話会議・ウェブ会議」の利用も2割となっている(図1)。
調査元の日本ビジネスメール協会によると、「LINE」も2016年の15.93%から3.49ポイント増の19.42%となった。Facebook、Skype(ビジネス版含む)のほか、グループウェアや社内SNSなど従業員向けに特化したコミュニケーションのツールも続いているが数%に留まっている。
同調査では「仕事でメールの送受信に利用している主な機器」についても聞いており、パソコンが96.33%に対しスマートフォンは52.36%となっている。スマホシフトにより、LINEなどをメールの代替手段として仕事で利用するシーンが増えているということだろう。
28.1%がチャットツール導入
そのような変化を受け、企業におけるビジネス向けチャットツールの導入も徐々に広がっている。伊藤忠テクノソリューションズが2月に実施した「大手企業のビジネスチャットツール導入実態調査」によると、会社として公式にチャットツールを導入している企業は28.1%だった(図2/売上高100億円以上かつ従業員数200人以上の企業に勤務する役職者412人が回答)。導入しているツールについては、モバイル端末ではLINE、Facebookの利用が目立つ結果となった(図3)。
ただし既存の個人向けLINE、Facebookは従業員がプライベートでも利用しているツールでもあり、セキュリティ対策やプライバシー保護の側面から積極的な利用を推奨することは難しかった。そこで登場したのが、ワークスモバイルジャパンが提供する「LINE WORKS」や、Facebookの「Workplace」など法人・団体の利用に特化したビジネスチャットツールである。
それぞれLINEは月間アクティブユーザー数6800万人(2017年3月末時点)、Facebookは国内月間アクティブ利用者数が2700万人(同年3月)といった普及状況であり、個人向けのLINEやFacebookを使いこなしている従業員にとっても利用しやすい。
従業員にはビジネス用のアカウントが付与されるため、個人アカウントとのすみ分けもできる。インターフェースや操作感も個人向けサービスと似ているため、社員間のリテラシーの差が生じにくい。つまり導入時のレクチャーが最低限で済む点も、既存の社内SNSやチャットツールに比べて優位といえる。社内の情報共有やコミュニケーション活性化を担う広報担当者としても、気になる存在だろう ...