2022年2月に節電対策プロジェクトチームを立ち上げ、具体的な施策を進めたファミリーマートは、翌年3月には前年比1割の電力使用量削減を達成。さらに、給与前払いサービスの導入により、多様な働き方に対応しながら従業員の定着率向上と人材の獲得を図っている。店舗運営の継続性を確保するための取り組みについて同社の各担当者に話を聞いた。
変化する働き手のニーズに対応
給与形態に“前払い”の選択肢を
ファミリーマートは、労働力人口の減少や多様な働き方の広がりに対応し、2022年8月から、給与前払いサービス「プリポケ」を導入した。現在、コンビニ業界で前払い制度を導入しているのは同社のみだ。人手不足への対応策として、加盟店への支援に活用しており、新たな人材の獲得と従業員の定着率向上が期待されている。
このように、従業員の福利厚生を充実させることで持続的な店舗運営を実現している、同社店舗運営業務部の石塚 剛氏に話を聞いた。
このほど同社が導入した「プリポケ」は、従業員自身が働いて得た給料の一部を事前に受け取ることができるサービスだ。昨今、変化する求人ニーズや、プラットフォーマーを介して仕事を受けるギグワーカーの増加に対応するために開始した。
「求人サイトやアルバイト検索サイトでは“日払い”や“週払い”が常に検索ワードのトップにでてくることなどから、アルバイトの勤務スタイルは変化していることが分かります。コロナ禍を経て副業や時間の融通性を求める人々が増える昨今、今回のサービス導入は魅力的な選択肢となっていると思います」(石塚氏)。
同制度の開始によって、従業員は自分の希望するタイミングで給料の一部を引き出すことができるようになった。手続きも少なく、即時に処理されることが特徴だ。従業員のニーズに柔軟に対応し、働き方の多様性を促進したいとしている。
従業員の定着率に課題 店舗側の環境整備に着目
給与の前払い制度を導入した背景には、人材不足や従業員の定着における課題があったと石塚氏は続ける。
「店舗では半年以内にスタッフが入れ替わることが多く、採用後の定着は課題だと感じていました。新しいサービスの導入はもちろんのこと、受け入れ側の環境整備も重要だと感じています。従業員のニーズに応えるために『プリポケ』を導入し、給与の受け取り方が柔軟になっているということを伝えていきたいと思っています」(石塚氏)。
以前から、同社では店舗で働く従業員から、前払いサービスの導入を希望する声が聞かれていたと石塚氏。実際に導入された店舗での「プリポケ」の利用率は高く、効果を実感しているという。