知って買ってもらうための「客観力」の身につけ方
ECやSNSを通じてビジネスをすることが当たり前となった。日々多くの情報を受け取る消費者に自社の商品を選んでもらうためには、お客さまが興味を持つ点を冷静に見極め、知られるための「客観力」を身につけることが重要だ。本稿では広告クリエイターの嶋野裕介氏と尾上永晃氏が、個人で商売やビジネスを始めている(始める)人たちに向けてもっと世間に知られるための考え方を解説する。
「強みの見つけ方」「知られ方」
クリエイターの支援事業を展開するBitStarは、美容面に特化した入浴料「amproom」を開発・販売している。新たな市場を開発し、SNSと店頭両面で認知拡大に着手するなど、様々な施策を打っている。狙いについてD2C部の北原利樹氏と村石梓氏に話を聞いた。
SNSで話題となった浸かる美容液「amproom」。
村石:この商品のコンセプトは「美容液にそのまま浸かる」です。化粧品の原料に使われる原液成分をそのまま入浴料に配合しました。特長は、美容液のようなとろみ、香り、お風呂のお湯色を楽しめることです。ラインアップは、乾燥が気になる方用のセラミドや日焼けが気になる方用のビタミンCなど4種類で、美容液感覚で自分に合うものを選べます。
村石:開発当時、コロナ禍で在宅やおうち時間が増え、より生活にかける時間を大切にする機運が高まったことで、入浴料の需要も高まっていました。そこで入浴料について調べたところ、「美容系」「スキンケア系」のニーズが高いことはわかりましたが、それにピッタリ合う商品が市場には見当たりませんでした。一方で、「美容系」「スキンケア系」の入浴料を求める声の中で、「肌に保湿が欲しい」という声が多かった点に着目。商機があると思い、ニーズに合致した商品を開発しました。
ターゲットは20~40代の女性としました。コロナ禍で増えた在宅時間を充実させる1つの方法として、ライフスタイルに取り入れてもらえる可能性が高いと考えたからです。
北原:「美容成分を前面に出す」「SNSでのインフルエンサーの活用」という2つの施策を講じました。
まず前者については、発売初期はブランドの認知度が低かったため、コラーゲンやビタミンCなどの美容成分を、パッケージの前面に出して訴求しました。そうすることで、商品を知らなくても手に取ってもらいやすくする狙いです。
後者については、当社から直接お客さまに商品の良さを伝えるよりも、第三者が伝える方がお客さまにメリットが伝わりやすい、という考えがありました。そのため、美容情報を頻繁に投稿していて、かつフォロワーからの信頼性が高いインフルエンサーを起用し、自社製品を紹介する投稿をしてもらいました。
これにより認知を拡大できた他...