コロナ禍で旅行が制限されたことによって、売上9割減という大打撃を受けた『地球の歩き方』。
しかし昨年に発売したコラボ本や日本をフィーチャーしたガイドブックが大ヒットし、V字回復を遂げている。それらの企画から販売に至るまでについて、地球の歩き方 出版編集室の池田祐子氏と由良暁世氏に話を聞いた。
読者のコアな年代層に注目 親和性の高い層にリーチ
──それぞれ、誰に向けた商品としてつくられたのでしょうか。
池田:『ムー』とのコラボ企画が立ち上がった一番の理由は、お互いの読者の親和性が高いと感じていたからです。実は『地球の歩き方』も『ムー』も1979年創刊なので、読者の年代は同じなんです。
学生時代にバックパッカーをやっていたとか、グラハム・ハンコック著『神々の指紋』を読んでいたような年代で、「好奇心旺盛で不思議なものに興味がある」という点で共通していました。そういった世代が大人になった今、改めて『ムー』や『地球の歩き方』に触れてもらい、ノスタルジーを感じてもらおうという狙いがありました。このようなターゲットの戦略に関しては、『ムー』編集部へコラボ企画を持っていく際に、かなりつくり込んで提案しました。
由良:『地球の歩き方 ジョジョの奇妙な冒険』の場合は『地球の歩き方』と『ジョジョ』、双方のコアなファンをターゲットにしました。コロナ禍で旅に行けなくても『ジョジョ』を通して旅気分を味わい、少しでも明るい気持ちになっていただきたい、という気持ちが強かったからです。
誌面デザインは『地球の歩き方』のセルフパロディのようになっていて、コアな読者であればそれとわかるデザインにしています。内容は『ジョジョ』に登場するスポットを網羅し、ファンならニヤリとするような要素を随所にちりばめています。『地球の歩き方』の強みは圧倒的な情報量と網羅性なので、細かい情報をたっぷり入れることで所有欲を掻き立てる一冊に。ファンの皆さまに納得していただけるよう、遊び心も加えながら丁寧につくりました。