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売上を伸ばすための基礎知識 販促の基本

はじめての販促物ディレクションのために行う準備とは

田中みのる(ライズマーケティングオフィス)

販促ディレクションというと専門的で高度なものと感じてしまうことも。しかし、その本質は常に受け手目線を忘れないことにある。本稿では、コピーライターやデザイナーなど制作チームの方向性を決めていくためのポイントを初歩から解説する。

販促物ディレクションというと「すごく専門的で難しいこと」のように聞こえてしまいますよね。販促物ディレクションの本質は、「それを手に取る人(ターゲット)」の立場で「読み進めやすさ」や「分かりやすさ」を重視して、コピーライターやデザイナーなど「制作側」のチームの方向性を決めていく行為である、といえます。

表現を変えると「常に受け手目線を忘れない」ということです。こう聞くと、少しは親しみが出るでしょうか?もちろん突き詰めていくと、奥の深い世界ですし簡単ではないことが分かっていってしまうのですが、今回は「はじめての」と頭書きが付いている通り「初歩の初歩」について書かせていただきます。

既存販促物のディレクション

これを読んでいる人の中には、大きく変化させることのできない「修正メイン」の仕事が多いので「ディレクション」といってもスケジュール管理くらいなんですよね⋯⋯。などと嘆いている人もいるのではないでしょうか?

まずはそんなジレンマから抜け出せるかもしれない「リアル」なお話から始めます。「販促物の改善」良く聞く言葉ですし、いつもやっています、という方もおられるかもしれません。似たような販促物でも細かい表現の変更などは実際よく行うことかもしれません。

①何のために作るのか

気をつけなければいけないのは、販促物の変更そのものが「目的化」してしまうことです。「定期的なパンフレットの更新」などの際に起こりがちなのです。例で「パンフレット」と書きましたが、すべてのツールにこの考え方を持ってください。

今回「作る」そのツールは「何のために作る」のでしょうか。新規獲得でしょうか?次回購入のためでしょうか?それともお客さま紹介?さらに具体的にどのような行動に誘導したいのでしょうか?

それらを「言葉にする」こともディレクション行為には大切です。まずは販促チームによる「目的の共有」これがないと議論も進みにくくなるのです。その上で、制作中の販促物の内容を改めて読み込んでみると、昔から何となく変更せずにいたが、よくよく見ると今の時代に合っていない表現などを見つけてしまうこともありますし、図や写真なども差し替えたほうが良いものに気づくこともあります。

思った以上に「自分たちの販促物に見なれてしまって」改善ポイントに気づけなくなっているものです。クリエイティブから一歩離れて全体像を見るのもディレクションを行う上で大事な視点です。

②ターゲットとの接触シーンについて考える

そもそものツール選定にも影響を与える考え方ですが、これもついつい軽んじてしまう部分です。昔と今では「ツールの位置づけ」も変化していますので再度チェックしていただきたいです。例えば「チラシ制作」ならば「どの媒体として使われるか?」の再確認をするのです。「出来上がり」は同じ物でも「使われ方」でターゲットとの接触シーンは変わります。住宅地でのポスティングなのか、駅前での手配りなのか、何か別のモノと同梱されるのか⋯⋯。これらを具体的に想像してほしいのです。

大昔の「新聞折り込みチラシ」と現代のそれとでは購読率はもちろん時代の変化で「位置づけ」が違うのも分かっていただけると思います。これは「媒体として劣化した」と言いたいわけではなく、文字通り「時代の流れと共に位置づけが変わった」という理解でみてほしいのです。なぜなら新聞折り込みチラシは「こんなご時世でも新聞を取り続けているところ」に届く媒体とも表現できるからです。そして昔に比べて「数が減っている」のは間違いないのですから、ターゲットや工夫次第で「目に留まりやすくなった」という考え方すら成立します。

これらは「制作し始めてから」でもチェックしてほしい部分です。「コレはこういうもの⋯⋯」などと、マンネリ化の問題点を感じていたなら、変化させるための突破口につながることもあります。

図1 不満の解消をヒントに作るべき販促物を考える。

新規販促物制作のディレクション

それでは次に「新たな販促物を作る」ために必要な準備について書かせていただきます。販促物作りはいうまでもなく「販売を促進する」ために作るのですから「目指す効果」が想定されなければなりません。ですがこれも「ゼロから」となると難しい作業です。クリエイターに方向性を示すためにもディレクターが頭を悩ませるところだと思います。

③不満を定義する

「目指す効果」を見つけるためのひとつの方法として「不満」からのアプローチという手があります。現状への不満を見つけ、それを埋めるために「販促物の力」を使うのです。では不満を見つけるためにどうするかですが、現実と理想を同じ軸で並べることがヒントです。

まずは「現状把握」を丁寧に行ってください。もちろん不満があれば、「それ」についてどう不満があるのかをできるだけ具体的に言葉にしてみてください。

例えば、「なんとなく顧客が減っている感じがする」で終えずに、「初回購入にこぎつけても次回につながらない。ここでの離反率が上がっている」などと掘り下げて表現してみてほしいのです。そしてさらに...

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