コロナ禍で外食業界全体が打撃を受け、顧客への向き合い方も大きく変わった。販促も今までのやり方が通用しない中で、飲食店が押さえるべき販促とは何か、筆者が解説する。

コロナ禍前は主にグルメポータルサイトなどからの集客に頼ってきた飲食店の販促ですが、コロナ禍によって消費者の店舗検索ニーズが変化しており、飲食店の販促手法にも変革が求められています。具体的な例を挙げると、緊急事態宣言による自粛要請などに伴い営業時間等の変更を余儀なくされる中で、多くの飲食店がグルメポータルサイトなどの更新が後手後手になってしまっているという現状があります。
「お店を利用しようとグルメポータルサイトを確認したが、最新の営業状況が反映されてなく、お店がやっているのかさえわからない」。みなさんもこのコロナ禍で1度はこんな経験をされたことがあるのではないでしょうか?コロナ禍により消費者にとってグルメポータルサイトに掲載されている情報に関して「最新情報が反映されていないのではないか?」というイメージが広がる一方で、SNSやGoogleマイビジネスといった店舗の最新情報が反映されやすい媒体を使ってお店を探す消費者がコロナ禍の中で一気に増加しました。
また、こうした媒体はユーザーの口コミも掲載されており、店舗の感染対策など、コロナ禍で消費者が求めている情報が反映されているという点も支持が増加している理由になっています。
こうした飲食店販促の変革を含め、今回は「いま飲食店が押えるべき販促・コロナ禍での新常識」というテーマでお話しします。
①ペイドメディアから オウンドメディアへの移行
飲食店におけるコロナ前の基本的な販促手法として月額で掲載費を支払うグルメポータルサイトなどのいわゆる「ペイドメディア」が一般的でしたが、コロナ禍の影響により無料で情報発信が可能なSNSやGoogleマイビジネスなどの「オウンドメディア」の活用が活発化してきています。
一方でオウンドメディアの活用には難点もあります。グルメポータルサイトは最初にある程度情報設定を行ってしまえば、基本的にページ更新は1〜2カ月に1回程度で問題ありません。しかし、オウンドメディアの場合は店舗自らが日々情報発信を行い、集客をする必要があります。
さらには投稿頻度だけではなく、SNSの急速な普及であらゆる情報をタイムリーに手に入れることが可能になった消費者の興味を引くためには、「消費者にとって価値のあるコンテンツづくり」が重要となっており、料理のこだわりや新商品などのお店の付加価値を訴求して来店動機につなげるコンテンツを継続して発信することが必要となります。
特にコロナ禍により消費者が不要不急の外食を控える中で、数少ない外食の機会を失敗しないためにお店選びに慎重になるマインドが強くなり、どちらかというと新規のお店よりは馴染みのお店に行く傾向が強くなっています。そういった意味では、オウンドメディアの運用だけではなく、販促で獲得した新規顧客にいかにリピートしていただくかという取り組みも並行して行っていく必要があります。
②リピート客を獲得するために 必須となるデジタルアドレス獲得
飲食店において新規顧客を馴染み客化していくために重要となるのが「デジタルアドレス」です。デジタルアドレスの主な例としては「LINE公式アカウント(旧LINE@)」「メールアドレス」「SNS(Instagram、Twitter、Facebookなど)」「携帯電話番号」などが挙げられます。また新規のお客さまが来店されてから、デジタルアドレスを獲得し、情報発信を通じて再来店を促し、店舗のリピート顧客になっていただくためには、新規顧客からリピート顧客化までの一連のプロセスの導線設計が重要となります。このプロセスをまとめたのが図1です。
最初に新規顧客向け集客でご来店いただいたお客さまに対して4つの顧客接点である「予約台帳・自社サイト」「LINE公式アカウント」「お客さまアンケート」「Instagram」などを活用してお客さまのデジタルアドレス獲得を目指します。
1つ目の「予約台帳・自社サイト」では、グルメポータルサイトやGoogleマイビジネス、SNSなどからのリンクで自店舗のWeb予約台帳システム(又は外部サービス)に誘導します。なおアナログ販促であるチラシなどの紙媒体でもQRコードを活用すれば、自店舗のWeb予約台帳システムに誘導することが可能です。
このようにオフライン(紙媒体)からオンライン(Web媒体)につなげていく戦略は今後ますます...