インフルエンサーを起用した商品紹介、イベント会場からの配信など、多くの企業がライブ配信に取り組むようになった昨今。SNSライブを有効活用するための基本とは?撮影の仕方や構図など、基本的なポイントを説明する。
この2年ほどの間で、ライブ配信を取り巻く環境は大きく変わり、特に限定的なセミナーやイベントなど企業主催のクローズドな配信では、ウェビナーツールを活用するケースが多くなりました。日頃の会議などでも使用頻度が高いツールであることから、配信も自らやってみよう。自分たちだけでやってみよう。そんな方や企業が非常に増えたように感じます。
SNSライブ活用のポイント
一方で、SNSを活用したライブ配信(SNSライブ)も、エンタメ系やPRイベント系を中心に数多く実施されています。これまで同様に実施するケースもありますが、密を避けるということで出演者の一部や海外からのゲストはウェビナーツールから参加し、会場やスタジオに設置されたカメラの映像と合成してSNSライブで配信を行う。といった進化系の配信も最近の傾向となります。
このように、世の中の情勢の流れとともに常に進化をし続けているライブ配信ですが、大きく分けると「クローズドな配信」と「SNSライブ配信」の2つに分類されますが、今回は「SNSライブ配信」を実施するにあたり、気を付けておきたい基本的なポイントや特徴などの理解を深めていきましょう。
なぜライブ配信を行うのか?
ライブ配信を実施したことがある方は、誰もが直面する課題があります。それは、配信におけるKPIやKGIの立て方です。もちろん視聴者数やリアクション数、リアルタイムで視聴している人数(同時接続数)、視聴者の地域や性別などは、配信後に各SNSツールが提供しているアナリティクスから様々なデータが読み取れるのですが、その後のサイトや店舗への流入、商品の購買数などの効果計測が難しいため、配信自体は盛り上がったけれども、継続した配信は諦めてしまう、というケースが多く見られます。
では、なぜSNSライブ配信を行うのか?SNSは、ユーザー同士がコミュニケーションを取ることができ、かつ起点となる人やコミュニティから、別の人やコミュニティへ共有、拡散できるということが大きな特徴となります。これらにライブ配信の特徴を加えたものが(図表1)となります。
ライブ配信の特徴には、大きく分けて2つが挙げられます。
1つ目は、PRイベントなどの実施後、TVやネットニュースなどでは一部分のみ切り取られて伝えられることがありますが、ライブ配信を行うことでリアルタイムに情報を伝えることが可能となります。
また、世界中のどこにいてもネット環境さえ整っていれば、同じ映像を視聴することが可能となり、共感や一体感が生まれやすくなります。
2つ目は、正確にかつ、本来伝えたいターゲットに情報を届けることが可能となります。また、SNSの特徴でもあるリアクションやコメントなどを通して視聴者の反応がリアルタイムで分かる、ということが挙げられます。これらの特徴を理解した上で準備を進めていくことがポイントとなります。
日頃の顧客データを活用
SNSライブを検討する際に、「効果はどれくらい出ますか?」と聞かれることがよくありますが、その時は「ライブ配信だけでは、効果を期待することは難しいです」とお答えしています。
それは、“無駄”ということではなく、ライブ配信だけ行ったとしても、思った以上に視聴数が少なかったり、反響が少なかったりすることは珍しいことではなく、逆に日頃のSNS運用によって既にアクティブユーザーが多くいたり、SNS以外にもサイトのデータを通して、アクセス時間などの顧客動向データなどがあると、期待以上の反響に繋がることも少なくありません。
ですので、ライブ配信を行うためにSNSを開設するのではなく、SNSを事前に開設し、既にある場合は有効活用をしながら、フォロワーの獲得や非アクティブユーザーに対してリテンション化を図ります。これは、話題作りを先行して行い続けることで、ライブ配信時に大きな山を作ることが狙いとなります。
(図表2)は山の作り方の一例ですが、配信本番日の1〜2カ月前ほどから情報を出していき、話題作りやエンゲージメントの高いユーザーの獲得に繋げます。また、エンゲージメントの高いユーザーを起点として、拡散や共有などが期待できるため、新規ユーザーの獲得。さらには、継続した情報発信を行うことで、話題性や認知度をより強固にしていく設計となります。