亀田製菓が2021年2月に新発売した「無限エビ」は、SNSなどでの事前告知も功を奏し、ターゲットとする若年層を中心に受け入れられ、発売開始から1週間で100万袋を販売。同社の過去5年間の新ブランド商品としては最速での100万袋到達を記録した。

- 商品名:無限エビ
- 価格:200円前後
- 主な販路:スーパーマーケット、ドラッグストア
DATA
ライト層の獲得で市場拡大を狙う
──開発のきっかけや背景を教えてください。
米菓の新商品はスーパーマーケットが定番商品を入れ替える春夏と秋冬の2回行っています。今回は春夏の新商品として開発しました。
──ターゲット設定のポイントは。
米菓のメインユーザーは50〜60代。今回はそれより若い30〜40代の若年層を獲得したいと考えました。この層は普段、ポテトチップスやチョコレートを中心に食べている方が多く、米菓カテゴリーにとってはライトユーザーが多い層になります。この層を取り込むことによって、年間の米菓市場全体の拡大を目指しました。
──なぜこのターゲットに「無限エビ」だったのでしょうか。
ターゲットの嗜好やトレンド、お客さまのデータを分析・検討した結果です。
米菓もいろいろで、昔ながらの堅焼きで醤油味の煎餅から、一口サイズのあられやうす焼きのタイプもある。「無限エビ」は揚米菓と呼ばれるカテゴリーで、揚米菓はもともと米菓の中では若年層の購入者の割合が多いカテゴリーでもある。昔ながらの醤油味の堅焼き煎餅に手を出すのはハードルが高くても、揚米菓は製法や味付けもポテトチップスに近く、スナックユーザーの買い回りも多い。そこで揚米菓を選び、さらに味付けを検討した結果、エビ味を選定したという流れです。
──ネーミングについてもターゲットからの逆算だったのでしょうか。
新商品開発はおおよそ発売の1年前くらいにはスタートして、半年前には商品名、パッケージ、価格が決まっていないと商談や生産のスケジュールも決められません。
近年、「無限」という言葉は食材を組み合わせてトレンドになることもありました。当社も「亀田の柿の種」の期間限定フレーバーで「無限塩だれ味」を発売し、大ヒットした経験がありました。また、4文字の商品は呼びやすく、覚えやすい傾向にあるので「無限」と「エビ」を合わせ、名前を見ると商品特徴もわかり、すぐにピンとくる商品名にたどり着きました。


商品
米菓では珍しいメタリックな赤いアルミパッケージを採用し、視認性を高めたことで店頭での注目度を上げた。揚米菓らしい軽い食感にエビの風味と、それをそこなわず食べ進みやすい五島灘の塩味が連食性を促進し商品としても「無限」を表現した。「無限エビ」のネーミングは300近い候補から選定された。