定期的な来店を促すひとつのカギとなるのが、「人」の存在だ。そこで、ソフトバンクがGoogleと共同で運営する「Google Pixel」の販売クルー向け教育プログラム「Google Pixelプロダクトスペシャリスト」について、担当者に話を聞いた。

ソフトバンク
コンシューマ事業統括 プロダクト&マーケティング統括
モバイル事業推進本部 パートナービジネス統括部
パートナービジネス3部
(左から)中川 将氏 部長 芥川直也氏 課長 大岡満美氏 石田紗弓氏
「次もあなたから買いたい」と指名
──従業員の研修をどのように行っているのか教えてください。
芥川:当社では、全スマホメーカーの皆さんと一緒に「Go To Market」という販促プロモーションをやってきました。広告施策、クルー施策、PayPayキャンペーンなど、端末がサービスインするまでの様々な施策の管理・推進を当部署で行っています。それと同時に、販売店にいるクルーの意見をキャンペーンに反映し、その内容をクルーたちが楽しみながら学べる「クループログラム」を動かすというミッションも担い、両者の相互補完を促しています。
2018年にはGoogle製品/サービスについて高い知識を持つショップクルー「Google Pixelプロダクトスペシャリスト」の育成を始めました。背景としては、“人”でも差別化を図っていくべきだという考えがあったからです。全国のクルーのうちこの資格をもつクルーは約2000名で、それぞれの持ち味や得意分野を活かしています。資格者全員が参加する特別研修や活動の上位者はGoogle本社の訪問や、新製品発表会などに参加するチャンスが与えられます。
大岡:多くのお客さまはスマートフォンの契約プランや他社との料金比較に関する説明を求められます。しかし、それらに答えるための知識やスキルを身に付けるだけではなく、販売することを楽しめるプログラムにすることが当社の研修のカギになります。クルーが“ファン化”してGoogle Pixelの魅力が腹落ちしていると、楽しい体験を伝えたいという気持ちが「強い提案力」に変わるのです。その結果、店頭提示に比べて約5倍ものお客さまがクルーのすすめで購入を決め、購入した端末への満足度も高いというデータが出ています。
芥川:さらに想定以上だったのは、Google Pixelプロダクトスペシャリストたちが在籍する店舗の実績です。NPS(顧客推奨度)が一般クルーに比べたスコアが7高いだけでなく、実績が約2倍と十分な数字が出ました。さらにデモ接客までできている割合が一般クルーより高く、「次もあなたから買いたい」と指名していただくケースもしばしば。それが働くモチベーションにつながるのか、離職率18%抑制に貢献できている要素のひとつとして、数字以上の喜びを感じますね。
研修をエンタメ化し、参加を促す
──“楽しめる”プログラムを構成するために、どんな工夫をしたのですか?
芥川:運営側が主導権を握るのではなく、クルーが主役として輝いてもらうために...