コロナ禍により来客数が減る中、顧客との接点としてSNSを検討する店舗は多い。しかし、ただ発信をするだけでは効果は出ず、労力をとられてしまう。今の状況下でどのように運用すべきか、SNS活用のプロが解説する。
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が国内でもいよいよスタートし、少しずつ収束への期待が高まっている。しかし、もし今後も新規感染者数などが増加するならば、再び緊急事態宣言などの行動制限が予想される。油断できない状況はしばらく続く可能性もあるといえるだろう。
私たちは、「新たな常態(ニューノーマル)」に対して柔軟な対応が求められている。今回は、ニューノーマルにおけるSNSの活用をテーマに、様々な事例を紹介していく。
主要なSNSユーザー数は増加
米Facebookの2021年第1四半期決算(※1)によれば、売上高、純利益ともに第1四半期として過去最高を更新している。さらに、「Facebookファミリーアプリ(Facebook,Instagram,WhatsApp,Messenger)」のMAU(月間アクティブ利用者数)は前年比15%増の34億5000万人、DAP(日間アクティブ利用者数)は同15%増の27億2000万人と順調だ。
※1 Facebook社 2021年第1四半期(1月−3月)業績ハイライト
米Twitterでは、2021年第1四半期決算(※2)によると、mDAU(広告を閲覧した、収益につながる日間アクティブユーザー数)の伸びは同20%増と、好調がうかがえる。
※2 Twitter「Q1 2021 Letter to Shareholders」
これらはグローバル全体の数値だが、日本国内においても緊急事態宣言やリモートワークの推進などの動きをみれば、増加傾向にあるだろうと筆者は予想する。店舗や企業にとっては、SNSをうまく活用できれば、認知の向上や集客・売上のアップにつなげられる可能性があるため、前向きなニュースであるといえる。
変化した意識に寄り添う
SNSの利用者が増えたからといっても、やみくもにSNSで情報発信を行えばよいというわけではない。SNSの投稿を見ただけで、すぐ欲しいと考える人や、購入を検討しているユーザーばかりではないことは意識しておきたい。さらに、SNSに力を入れようと考えている競合も増えてくれば、それだけSNS上での競争も激化するだろう。「いかに顧客に自社のことを知ってもらうか・見つけてもらうか」という視点は忘れてはならない。そのためには「顧客やSNSユーザーが何を求めているのか?」を改めて意識したSNS活用が重要だと考える。
さて、図1はメディア環境研究所による「メディア定点調査2021」という調査結果より引用したものだ。特に2020年〜2021年に最も大きく変化した意識・行動は...