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SPORTS TEAMに学ぶ集客術

ブランド刷新と地域活動強化で観客動員の回復目指す

東京ヴェルディ

2019年に創立50周年を迎え、エンブレムなどを一新した東京ヴェルディ。約10年間横ばいを続けてきた観客動員の回復に着手している。スポーツの枠組みすら超えて、総合クラブ化を目指している。

    [DATA]

  • 運営:東京ヴェルディ
  • 設立:1969年
  • ホームタウン:東京都
  • ホームスタジアム:味の素スタジアム

    TEAM HISTORY

    スポーツ・文化の総合クラブへ

    1969年に企業を母体としない日本初のプロクラブチームを目指す「読売サッカークラブ」として誕生。ユースなどの下部組織もいち早く整備し、サッカー界をリードする存在として地位を築いてきた。1993年に開幕したJリーグでは「ヴェルディ川崎」として初代年間王者にも輝いた。2008年にはクラブ史上2度目のJ2降格を経験。2017、18年はロティーナ監督(現セレッソ大阪監督)のもと、J1昇格プレーオフへ進出するも惜しくも昇格を逃している。2001年、ホームタウンを東京都に移した。

    創立50周年を迎えた2019年、近年進めてきたサッカーだけでなく、バレーボール、バスケットボール、eスポーツなどの他競技、将来的には文化芸術活動も含めた総合クラブ化をより明確に打ち出し加速するために、エンブレムのリニューアルを含めたリブランディングを行った。ホームスタジアムは東京都調布市の味の素スタジアム。クラブカラーはグリーン。クラブ名の「ヴェルディ」はポルトガル語で緑を意味する「VERDE(ヴェルデ)」に由来する。

東京ヴェルディは、クラブ史上2度目のJ2(Jリーグ2部)降格となった2008年以降、年間平均観客数が5000人〜6000人の間で横ばい状態を続けてきた。チケット収入はクラブにとって収益源のひとつ。集客の苦戦は、スポンサーに対しても魅力的な接触機会を提供できないことを意味し、クラブ経営にも大きな影響を与える。創設50周年を迎えた2019年、あらためてファン獲得、観客数増加への取り組み強化に着手した。

活動のポイントは本拠地での認知獲得と関係強化を軸とするホームタウン活動。スタジアムでは来場者のデータを取得し、その先の継続的なコミュニケーションを図るものだ。

創立50周年を迎えた2019年にリブランディングに着手。翌年1月に新しいロゴデザインのユニフォームを発表した。

既存顧客の定着を目指した2019年

2019年は準備段階として、既存顧客の離脱を防ぎ、継続的な来場を促すための施策に取り組んだ。来場時の満足度を高め、2度目、3度目につなげるために必要なのは、スタジアム滞在時に感じるストレスを減らすこと。そして感動体験の提供だ。

ストレス軽減については、Jリーグやクラブ独自で行うアンケート調査に基づき、ストレス要因を明らかにした上で、それを潰していくことを日々行っている。

スタジアム来場時の感動体験の提供施策として実施した、リアルタイムスポーツ実況アプリ「GayaR(ガヤール)」を活用。生観戦しながら実況、解説を聞くことができるスタジアム内での実況サービスは好評だったこともあり、2020年もすべての有観客試合で継続した。2019年はトライアルで実施し約180人が体験し、試合後のアンケートでも高い満足度を記録した。

ファンデベロップメント部 部長 鈴木雄大氏は「サッカー観戦が初めてという人にも実況と解説があれば、試合の状況がわかりやすく、観戦体験の向上にもつながります。今シーズンは試合前に実況、解説の担当者がトークショーでその日の見所や注目選手などを紹介。よりストレスなく、観戦を楽しめる形を目指しました」と話す。また、その日のスターティングメンバーの選手ボードの設置や、応援歌の歌詞をスタジアムのリボンビジョンで流すといった環境整備を進めた。

これらの施策と並行して、来場者にJリーグID取得の促進も行った。クラブはその...

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