「DetonatioN Gaming」。世界大会出場経験者も擁し、日本のeスポーツ界を代表するチームだ。eスポーツは、世界各地で大会が開催されているだけでなく、将来的にはオリンピックの正式種目に採用される可能性もある。CEOの梅崎伸幸氏に、活動について聞いた。

「リーグ・オブ・レジェンド」部門の「Detonation FocusMe」は、2015年に日本で初めて「フルタイム・給与制」を導入した。
世界で勝つことを目指すeスポーツチーム DetonatioN Gaming
DetonatioN Gaming(デトネーション・ゲーミング)は、2012年に一人称シューティング(FPS)と呼ばれるゲームタイトルのひとつ「カウンターストライクオンライン」(現在はサービス終了)のチーム「DetonatioN」として設立された。
以降、対応ゲームタイトルやジャンルを拡大、有力選手を獲得し、チーム内には9つの部門チームを設けた。15年1月には複数人で同時対戦するゲーム「League of Legends(LoL)」部門「DetonatioN FocusMe」で日本初となるフルタイムの給与制を導入した。同年11月にはチーム名を「DetonatioN Gaming」へと改称。現在は全部門の所属選手のうち6割近くがフルタイム・給与制でチームと契約を結んでいる。
梅崎伸幸CEOは、チームの目標を「世界で勝つためのチームづくり」と話す。日本は家庭用ゲーム機やそれに伴うゲームタイトルの開発で世界をリードしているゲーム大国だ。しかしeスポーツの世界では、アメリカ、中国、韓国、ヨーロッパといった先進国に遅れをとっている。格闘ゲームでは世界的な選手を輩出できてはいるものの、ゲームの世界でトップレベルのメジャーなタイトルでは、まだそこまでの結果が出せていないのが実情だ。
「オリンピックで例えると、お家芸的な柔道で金メダルを獲れても、陸上やサッカーのような競技では勝てていない、ということになります。もちろん柔道で勝つことも大事。しかし、世界中に多くのユーザーを持つ『LoL』や『フォートナイト』のようなゲームタイトルで世界一を取らないと世界的な評価を得られません。そこを最も重視し、チームを強化しています」
企業にとっても魅力的な市場になりつつあるeスポーツ
梅崎氏は、「ファンやスポンサーの獲得、競技力の向上は全部つながっている。どこかひとつではなくすべてが課題」と話す。
ここ数年、eスポーツを取り巻く環境は劇的に変わってきた。18年に日本eスポーツ連合が設立されたり、ゲーム業界以外の企業もeスポーツにスポンサードするようになった。横浜F・マリノスのように、ほかのプロスポーツチームがeスポーツチームを発足させる動きも出ている。また、eスポーツをテーマとしたバラエティ番組が放送されるなど、一般にも認知が高まりつつある。
「いま、eスポーツに参入する企業は、市場価値を認めているから。グローバルでも伸びていますし、日本はもともとゲーム大国で、最大4500万人ほどのゲーム人口がいると言われています。そう考えるとポテンシャルは高い」(梅崎氏)
チームの収入を支えるのも企業のスポンサー料。19年は新たにUCC上島珈琲、全日本空輸、シャープといった大手企業がスポンサーに加わった。すでに多くのスポンサーを獲得しているが、企業側からのオファーは続いているという。チームから支援を頼むのではなく、企業がeスポーツに投資しようとしているのだ。
「eスポーツのボリュームゾーンは10歳代から20歳代。多くの企業はこの世代への効果的なプロモーションに課題を持っており、eスポーツへの支援をその解決策として考えています。市場としての成長も...