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経営トップ 販促発想の着眼点

農家が野菜の販売価格を決定 「消費者は高くても購入する」

ビビッドガーデン

ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。

ビビッドガーデン 代表取締役社長
秋元里奈氏

神奈川県相模原市の農家に生まれる。慶應義塾大学理工学部を卒業後、ディー・エヌ・エーへ入社。Webサービスのディレクター、営業チームリーダー、新規事業の立ち上げを経験した後、スマートフォンアプリの宣伝プロデューサーに就任。2015年より、業務と並行し実家で保有している遊休農地の活用方法を検討開始。その中で農業分野の課題に直面し、起業を決意。2016年11月にビビッドガーデンを創業。

収穫されたばかりの無農薬野菜を農家が消費者へ直送

オーガニック農産物の生産農家と消費者とを結ぶ直販サイト「食べチョク」が、生産農家と消費者双方から注目を集めている。2017年8月に本格オープンして以来、2カ月あまりで契約農家は約100軒、購入者である一般消費者の会員数も口コミで順調に増加している。会費は無料。

主要顧客は、首都圏に住んでいて子どもを持つ30歳代の女性だ。1回あたりの平均購入額は3000円~3500円。商品の一例を挙げると、「旬のおまかせ野菜セット(Sサイズ)」は大根、玉ねぎ、白菜など7種類で税込2180円。送料がプラスされるので、スーパーなどで売っている一般的な野菜と比べれば決して安くはないが、売れ筋商品のひとつになっているという。

運営するのは、東京に本社を置くビビッドガーデン。2016年11月に設立したばかりのITサービスを得意分野とするベンチャー企業だ。

同社によれば、オーガニック農産物をネットで直販するサービスはこれまでもあったが、いずれも規模は小さく、「食べチョク」のように全国規模で展開するサービスはほとんどないという。秋元里奈社長は「食べチョク」を始めた経緯について次のように話す。

「オーガニック農産物を生産する農家の多くは、東京などの大都市圏で生産物を売りたいと考えています。しかし、小規模農家であることなどから、生産量が安定しなかったり、農産物の形状も一定でなかったりで、大手スーパーなど既存の流通業者では扱ってもらうことがむずかしい面がありました。

農家は需要の大きな地域で販売したいと思っているものの、自分たちだけでは販売に関するマーケティングも十分にできていない状況だったのです。そこで、生産者と消費者を直接結びつけるサービスとなる『食べチョク』を開発し、農家のマーケティングを支援することにしました。スーパーなどの流通における農家の利益は販売価格の3割ほどだと言われていますが、『食べチョク』は8割が利益になります。販売価格を農家側で自由に決められるのも、農家にとって大きなメリットです」

当初は、オーガニック農産物を生産する農家一軒一軒にコンタクトを取り、「食べチョク」の利用を提案。さらにその農家から別の農家を紹介してもらう方法で、契約農家の数を地道に増やしていたが、最近はオーガニック農産物を生産する農家のほうからの問い合わせが多くなったという。

「『食べチョク』に関する記事が新聞などのメディアに掲載されるなどして、認知が高まったのが大きな理由かもしれません。またFacebook経由での問い合わせもとても多いです。オーガニック農産物を生産する農家のお子さんがFacebookで『食べチョク』に関する投稿を見て、親に教えてあげるというケースも少なくありません」(秋元社長) ...

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