ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。
主力商品「スカルプD」シリーズ累計販売数1650万本
アンファーが、主力商品の薬用スカルプシャンプー「スカルプD」を発売したのは2005年のことだった。それまで薄毛対策商品の市場は、育毛剤などのカテゴリーがメインストリームだったが、「スカルプD」は「頭皮を洗う」という新たな価値を提案し、ヒット商品へと成長した。
価格はシャンプーとコンディショナーがそれぞれ3900円(各350ミリリットル)と、一般のシャンプーと比べて高額ながら、メンズシャンプー市場では、2009年から2016年まで8年連続でシェア1位を獲得している【富士経済「化粧品マーケティング要覧2017 No2」メンズシャンプー・リンス(2009年~2016年)】。
現在までの販売本数は、累計で1650万本を突破。発売以来、毎年リニューアルを重ねており、現在は「頭皮を厚くする」を合言葉に13代目の商品を販売中だ。
「スカルプD」の主要購買層は40歳代~50歳代だが、ことし8月、20歳代~30歳代前半を対象にした「スカルプDネクスト」シリーズを発売した。価格はシャンプーとコンディショナーがそれぞれ1950円(各350ミリリットル)と、「スカルプD」より低価格にすることで、若い世代が手に取りやすくした。
「スカルプD」がヒットした要因について、アンファーの叶屋宏一・専務取締役は、こう語る。
「当初は、東急ハンズなどの実店舗で販売していましたが、ネット通販での売り上げが徐々に大きくなっていきました。時代的にも、ちょうどネット通販が大きく伸びたころと重なり、さらに薄毛対策商品の性質上、(対面販売よりも)通販のほうが購入しやすいという側面もあったと思います。また、お笑い芸人をテレビCMに起用したことで、ネガティブにとらえられがちな薄毛対策に、明るい印象を持たせられた。こうしたことが、『スカルプD』が多くの人に受け入れられた要因だと考えています」
高いブランド想起率自社ECサイトへ流入
「スカルプD」などのアンファーの商品は、同社直営の自社ECサイト「アンファーストア」をはじめ、楽天市場やYahoo!ショッピングなどのネットショッピングモール、全国のドラッグストアや、東急ハンズやロフトなどのバラエティショップといった実店舗で販売している。
オンラインと実店舗での販売比率は7対3。またオンラインの中では自社ECサイトの構成比が最も大きいという ...