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経営トップ 販促発想の着眼点

一品モノのデータ管理が販売基盤を強くする

トレジャーファクトリー

ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。

代表取締役社長 野坂英吾氏
1972年神奈川県生まれ。2歳から10歳までシンガポールで過ごす。学生時代の量販店でのアルバイト経験からリサイクルビジネスの可能性を確信し、大学卒業と同時にトレジャーファクトリーを設立。幅広い品揃えでしっかりとクリーンアップされたリユース品に保証をつけて販売する、新しいタイプのリユースショップの草分け的存在になる。2007年12月 東証マザーズ上場。2014年12月 東証一部に市場変更。

業績悪化の撤退は1店舗のみ 出店したら黒字の店に仕上げる

リユースショップを展開するトレジャーファクトリーは2017年2月期、創業以来の22期連続の増収を達成、売上高は約133億円となった。利益については企業買収などにより減益になったものの、2016年2月期までは12期連続の増益を記録している。

トレジャーファクトリーは1995年に創業。2007年、東証マザーズに上場し、2014年には東証1部に上場した。野坂英吾代表取締役社長が同社を設立したきっかけは25年ほど前、学生時代に量販店でアルバイトしていたころまでさかのぼる。

「新しいテレビを買いに来たお客さんが、発売から数カ月の、まだ十分に使えるテレビの処分を依頼していることなどから、リユースビジネスの可能性に気付きました」(野坂社長)。

現在は、総合リユースショップ「トレジャーファクトリー」を柱に、服飾専門「トレファクスタイル」、スポーツ・アウトドア「トレファクスポーツ」、古着アウトレット「ユーズレット」、ブランド古着「ブランドコレクト」などの7業態(衣料は価格帯によって4業態)を展開している。

顧客はおよそ男女半々で、年齢層も若い人から高齢者まで来店する。増収を続けてきた理由について、野坂社長は「その要因は単純です。店舗を出したら退店しないこと。これまで140店ほど出店してきましたが、業績が悪くて退店したのは1店だけ」と話す。

いったん出店したら、ビジネスが成り立つ店舗に仕上げるのが同社のやり方だ。それを可能にするため、大きな役割を果たしているのが、リユース品である商品を単品管理する独自のシステムだ。

トレファクスタイルの店内
1点モノであるリユース品の服などを用いて、店頭を演出。

商品管理システムを自社開発 経験値に頼らず適正価格を提示

量産品と違い、リユース品は一品モノなので、商品管理には手間と時間がかかる。しかし、同社は独自の商品管理システムを構築し、創業間もない頃から運用してきた。

「システムには商品のさまざまなデータが入力されていますが、特に重要なのはリユース商品の販売価格に関わるデータです。テレビを例に取ると、製造年、画面の大きさ、付属品の有無など多岐にわたります。販売価格を決めるときは、ほかにも自社の過去の売買履歴、新品の価格、オークションの価格などを必要に応じて参照し、商品の適正価格を導き出しています」(野坂社長)

商品管理システムを活用することで、スタッフの経験値に頼ることなく、リユース品の適正な買い入れ価格を顧客に伝えられるのがメリットだ。

システムを導入した理由について、野坂社長は次のように話す。

「大学生時代、リユースビジネスの構想を練っていたとき、リユース品を扱う店舗をいくつも見て回りました。当時は、多店舗展開している企業はなかったと記憶しています。どの店も、主人がリユース品の価値を見極めて販売価格を付ける属人的なビジネスをしていました。ですから、店舗が増えると店主の目が行き届かなくなり、ビジネスが回らなくなってしまいます。私は当時から多店舗展開をしたいと考えており、そこで出した結論が、1品モノの魅力を損なわないようにしながら、リユース品を単品管理できるシステムの構築でした」

また、システムは一度開発して終わりではなく、時代によって入力するデータ項目が更新され、管理方法も変わる。そのため、バージョンアップが欠かせない。

「自社開発したのは、外注よりも自社開発のほうが、よりスピーディで適切にバージョンアップできると判断したからです ...

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