企業の期待を背負い、現場で力強く成長する35歳以下の販促キーパーソンを紹介する当連載。第7回は、「マクドナルド 保谷新町店」で店長を務める大森剛さん(35歳)。一店舗の店長でありながら「経営者目線をもってお客さまを満足させる」という高い理念を持ち、クルーを巻き込んで店舗づくりを行う。
店長になって初めて気づいた「経営者目線」の大切さ
日本全国に約2900店舗を構え、クルーと呼ばれる約13万人のアルバイト従業員を擁する大手ハンバーガーチェーンのマクドナルド。その「保谷新町店」で店長として働くのは、大森剛さん(35歳)だ。
大森さんはことしで入社11年め。入社9年で店長に抜擢された成長株だ。初めて店長として運営した店舗では、就任前の前年の1年間に比べて売り上げが大きな伸び率を記録するなど、さっそく店長として大きな実績を作り頭角を現している。
しかし店長就任後すぐに結果が出せていたわけではなかった。「最初の1カ月は店長になれたうれしさで浮き足立ってしまったのかもしれない」と話す大森さん。1カ月経って店舗の業績を振り返った際に、売り上げは順調に伸びているものの、利益が少ないという事実に直面した。
「そこで初めて、店長はもっと経営者の視点を持って店舗を運営しなければいけないということに気づいたんです」と大森さん。これまで店長候補としてお客さまの総合満足度を向上させるために、QSCの向上をベースとしながら店舗で働く人材の育成や採用、食材など資材の発注、店内全ての機器類のメンテナンスなどの経験を積んだ。売り上げを大きく伸ばせば評価され、大森さん自身の人柄の良さから同じ店舗で働くクルー、会社の上司や同僚にも慕われて信頼されてきた。
しかし店舗として大きく成功するためには、ただクルーと楽しく運営しながら売上目標に向かうのではなく、それ以上に「利益を確保しながら、お客さまに選ばれ何度もご来店いただける店舗づくりをしていかなければならない」という考えが生まれたのだという。
そこで大森さんは、店舗でのサービスや清潔さなどについて来店客の声を集めるマクドナルドのアンケートアプリ「KODO(コド)」のデータを、できるかぎり細かくチェック。30分単位のデータを分析し、お客さまが多くサービスが疎かになりがちな時間帯にはクルーを増やしたり、その時間帯の店舗責任者(スウィングマネージャー)のトレーニングに注力したりすることで、店舗全体でのサービスの質の向上に努めた。
また、より多くの人に来店してもらうため、店舗周辺の商圏について分析し、全店同一で実施している施策に加えて、店舗の特性にあったマイストアマーケティングを考案している。例えば駅前やスーパーの店頭などで許可をとりクーポンを配布するセールス活動や、地域コミュニティと連動したCR活動など。その結果が、昨年比で売り上げを大きくアップさせる成果につながった ...