クリエイターのアイデアとAIがかけ合わさることで、より良い未来づくりに繋がるかもしれない。電通 Future Creative Centerの志村和広さんが可能性を模索する。
アイデアの後ろからAIの進化が追いついてくる
AIのプロジェクトを企画する中で、よく議論に出てくる必殺フレーズが「それってできるんだっけ?」という言葉。限られた期間でクライアントの課題を解決するという広告の価値観から、「できるかわからない」ために見送られてしまったアイデアもたくさんあるのではないでしょうか。
「できるんだっけ?」に対する答えは、「やってみなければ、誰にもわからない」ということです。そもそもAIに読み込ませるデータ自体、集めてみなければわからないケースがほとんどですし、精度がどれだけ出るかは、試行錯誤してみないとわかりません。むしろ企画の初期段階で確実に実現可能と断言できるようなアイデアは、実現したところで大して新しさがない、と思ってもよいと思います。そんな風にアイデアの芽が摘まれてしまうのは、実にもったいないことです。
AIのプロジェクトの特性は、「できるようになるかもしれない」という可能性を常に秘めていることです。なぜならAIの技術は、世界中で同時に急速に発展していくから。そのためアイデアの構想段階では技術的に難しいことでも、プロジェクトが進むにつれて、実現方法が後からついてくることがあります。これはこれまでの広告制作業界ではほとんどなかった現象で、AIの仕事の面白いところでもあります。
それを体現した、私が最近見かけて素敵だなと思った事例をひとつ紹介します...