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パッケージデザインとサステナビリティ

デンマークで学んだ パッケージデザインに求められる価値

渡辺真佐子(資生堂)

サステナビリティの先進国といわれる北欧。資生堂のアートディレクター、渡辺真佐子さんは2018年から2019年にかけてデンマークに滞在。現地のデザイン会社や消費者らへのリサーチなどから得た、これからのパッケージデザインに求められる価値とは。

8カ月の滞在で得た3つの答え

約2年前、私は8カ月間デンマークに滞在しました。ことの始まりはユニバーサルデザインからで、使いやすさだけでなく、心や美しい動作をも満たすデザインへの追求が目的でした。ノーマライゼーション発祥の地、そして多くの秀逸なデザインを生み出したこの国で、どのようなものが人を惹きつけ、使い続けられるのかを探りたかったのです。

デンマークのブランドエージェンシー、Everland.dkが2020年12月から2021年2月にかけて実施した消費者調査によると、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーなど北欧諸国の消費者の約8割は、日常製品がエシカルでサステナブルな方法で生産されることを期待しています。そんな現地での生活を通じ、私なりに得たデザインに関する3つの答えがあります。

ひとつが「耐久性があり、丈夫で長持ちするもの」「普遍的なデザインで、価値が下がらないもの」。これだ、と思えるものを大切に(というよりは)愛着を持って、長く使います。デザインは使われてこそ、活かされるのです。図1は前述のEverland.dkの調査から、北欧諸国において「食料品を買うときに最も重要なパラメータ」です。どの国も流行には左右されず、購買の第一の決め手は質だということがわかります。

図1/北欧諸国別 消費者が食料品を買うときに最も重要なこと

出所/Everland.dk

もうひとつが「完成しきっていないもの」「用途に制限がないもの」「応用が利くもの」。実際の消費者はつくり手の理想や想像をよそに、好きに仕様や使い勝手を変えていくもの。徐々に自分に馴染ませ、唯一無二のものにしていきます。初めから完璧ではないことです。

最後に「つくり手の姿勢、意志が見えるもの」。私は現地で約30人の自宅や住まいに上がり込み、お気に入りのものとそれを選んだ理由についてインタビューしました。そこでは彼らが商品を選ぶ時、その生産者、製造者、企業の持つ姿勢や意志を重視していることが見て取れました。

とりわけ化粧品に関しては「中味成分はオーガニックか」「動物実験をしていないか」「国産か」「パッケージは過剰ではないか」「プラスチックを多く使用していないか」などが挙げられていました。たとえばデンマークの化粧品ブランド「MIILD」はこれらのニーズをとらえており、サイトを見ると創業者自らが紙製コンパクトの解体、廃棄方法を...

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