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経営を変える広報

低価格メガネ「ゾフ」、社長が接客改革に取り組んだ理由

上野剛史(インターメスティック 代表取締役社長)

今年6月に移転した東京・表参道の本社オフィス。部門間の壁を取り払い、社内のコミュニケーションを円滑にする狙いで、ワンフロアで全体を見渡しやすくした。

低価格を打ち出したメガネ店の先駆け「Zoff(ゾフ)」を運営するインターメスティックの上野剛史社長は、徹底した現場主義で成長を支えてきた。上野氏が接客の改革に乗り出したきっかけとは─。

クレームで顧客の声を知る

2001年の創業とともに役員として入社し、会社の立ち上げにかかわってきました。営業統括という立場でしたが、当時は雑用を含め何から何まで、それこそ商品を店頭に運んだりもしてきました。

インターメスティックは現会長で父の上野照博が創業した会社です。メガネの価格が大手チェーンでも2万円から3万円が普通だった当時、1万円を下回るスリープライスの価格設定で市場参入し、店舗を拡大してきました。メガネの企画・生産から販売までを行う一貫したシステムを自社で構築し、低コストでクオリティーの高い商品を供給する体制を整えています。お客さまには、眼鏡をファッションアイテムとして複数持つ「着替える」スタイルを提唱してきました。

創業時から私はずっと現場を担当してきました。親会社であるインターメスティックの社長に就いたのは昨年のことですが、店舗である「Zoff(ゾフ)」の運営を担う株式会社ゾフの社長は2006年から今も務めています。

立ち上げ時から現在までの間で最も力を入れてきたのは、現場に顧客満足の意識を根付かせることです。今でこそ過去の話と言えますが、当初はそれがまったくできていなかったのです。店頭には商品が並んでいて、お客さまは向こうから来てくださる。そんな中で、スタッフはしばしば勘違いをしてしまいます。「(店頭に)ある中から気に入ったものを選んで持ってきてください」といった態度が接客に出ている状況でした。

サービスの意識はなかなか根付きませんでした。これは我々経営の責任も大きかったと思います。当初は会社の成長性や新しい価値の提供を優先させていたので、採用の場面でも顧客満足を重視するという姿勢が欠けていました。

そのことはお客さまの反応で返ってきました。私はゾフの代表に就くまでの約6年間、クレーム対応を担当していたので、電話にメール、会社に来るクレームはすべて私のもとに集約されました。自宅に電話が掛かってきて、夜中まで対応に追われたこともあります。そうした声を日々肌で感じていたので、お客さまが離れていく感覚はよく分かっていたのです。

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