データで見る、ECサービスの市場概況のいま
ECサービスの市場は、どのように拡大しているのか。実店舗との販売チャネルを統合的に提供する「オムニチャネル化」は、どの業種でどの程度進んでいるのか。ここでは、ECサービスを取り巻く基礎情報として、その実態を紹介する。
ECの分水嶺はクリエイティブにある
Eコマースサイトが急増し、まさに群雄割拠の時代。多くのECサイトがハマるワナが「新規のお客さまの獲得一辺倒」で「既存のお客さまを大切にできていない」と電通デジタルの三橋良平氏は指摘する。売り上げの伸長を停滞させないための、ECにおけるブランド体験の重要性について聞いた。
「こんな商品がほしかった」の付加価値
サイトに寄せられた1200件超の要望から生まれた商品
「リンナイがネット限定で販売する「ホワロ」は、真っ白なガステーブルコンロ。同社サイトに寄せられた1200件超のアンケートを元に顧客の要望を反映させた商品だ。点火つまみのポイントカラーを7色から選べるカスタマイズ性もある。リンナイのネット限定製品はほかに「セイソ」「V バーモ」といったラインナップがある。
三橋良平氏▶ 割安感のみに立脚したプロモーションを行うと、「安くなければこのサイトで買う意味がない」と意識づけしてしまい、顧客が定着しないことが問題です。
新規客を獲得して購買を促すよりも、既存顧客に繰り返し購入してもらうほうがかかるコストが少なくすむという側面からも真のファンを育てることが重要です。
同じ割引でも、ブランドが構築できていれば効果的なんです。例えば単なるセール告知ではなく、ブランドに立脚した、お客さまとのコミュニケーションを主体としたカードを届け、限定のシークレットセールに誘うなどの手立てが考えられます。あくまで「ブランディング」が主、割引は従なのです。ただ、多くのECサイトでは、この主従が逆転してしまっている印象があります。
三橋氏▶ 往々にしてECサイトはダイレクト要素しか存在しなくなってしまい、そもそもの企業や商品と整合性が取りづらくなりがちです。
しかし、ECは十分にチャネルとして普及しており、顧客との重要な接点です。そこでどんな体験を与えるかは …