国内のネットサービスをけん引し、これまでウェブ上で存在感を示してきた楽天が、リアルの場にもその姿を表した。渋谷・公園通り沿いにオープンした「楽天カフェ」だ。「楽天市場」の人気商品やタブレット端末「Kobo」など、同社のサービスを盛り込んだ店舗を起点に、楽天に馴染みのなかった層へのアプローチを狙う。
「楽天カフェ」2階。落ち着いた雰囲気で、店内では通信速度1Gbps無線LAN(Wi-Fi)や、全席にコンセントを備える。主要なモバイル端末用の充電器も貸し出す。持ち込んだパソコンを立ち上げて仕事をしたり、打ち合わせをしている様子の人が目立った。
楽天は5月29日、同社運営のECモール「楽天市場」で買える食品などを提供する店舗を、東京・渋谷にオープンした。1~3階で席数は計85席。店舗デザインは、楽天グループのクリエイティブディレクションを手がける佐藤可士和氏が監修した。
「楽天市場」で支持を集めている「お取り寄せスイーツ」を中心としたフードや、ビールなどアルコール、ソフトドリンクなどを提供する。
電子書籍端末「Kobo」を1~2階席に設置し、ファッション誌の電子版などが自由に読める。楽天カードほか金融サービスの相談窓口も設け、専任のコンシェルジュが来店客の疑問に答えていく。楽天の提供するネットサービスを体験できる場を通じ、これまで同社サービスを利用したことがなかった人たちを取り込みたい考え。
出店にはアップルやソニーといったメーカーが、消費者との接点として直営店舗を活用していることが背景にある。楽天でも、ジェイアール名古屋髙島屋で開催した「楽天市場」出店店舗の人気商品を販売した物産展で、7日間で約2.9億円を売り上げた実績があり、リアルの場の強さを示した。「同じ商品をネットで注文できるのに、数十万人の方々が、1~2時間並んで購入されていくのを目にしました。実店舗での買い物に魅力を感じる方はまだ多いことがわかり、楽天のブランドを体感できる場を作りたいと考えていました」(楽天 常務執行役員CMO 中島謙一郎氏)。
「楽天カフェ」のオープン時間は11時~23時までで、毎日営業。カフェ単体で黒字化を目指す。
「楽天カード」で割引に
1階の注文カウンター。クレジットカードや、「楽天Edy」でも支払える。「楽天カード」で決済する場合は、コーヒーや紅茶が50%オフになる。「楽天カフェ」は、店舗に訪れるとポイントが貯まる「楽天チェック」の対象店でもある。
「楽天市場」の商品を提供
ショーケース。「楽天市場」で人気のスイーツなどを注文したり、テイクアウトもできる。メニューには二次元バーコードが記載されており、そこから「楽天市場」にアクセスして自宅用に買うことも可能。
「Kobo」の体験機会にも
白いユニホームを着ているのが、楽天サービスの疑問に答えるコンシェルジュ。「Kobo」の使い方も教えてもらえる。1階全席と2階カウンター席には、「Kobo Arc 7HD」を設置。『DIME』や『CanCam』など雑誌の電子版が読める。
エントランスは2つ
店舗へのアクセスはJR渋谷駅ハチ公口から約5分ほど。こちらはメインエントランス脇の入り口。店舗スタッフは黒地に楽天のコーポレートカラーの赤でロゴを添えたユニホームで出迎える。
DATA
「楽天カフェ」
東京都渋谷区神南1-20-6
TEL 03-5784-2848
営業時間 11:00~23:00
定休日 なし
≫周辺情報
商業施設や飲食店が集まる、東京・渋谷の「公園通り」沿いにオープン。白い壁面に大きく掲げた楽天ロゴの「R」が一際目を引く。夜11時まで営業しているので使いやすい。2015年夏に予定する本社移転時にも付近に同様のカフェをオープンする予定。